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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第103回 「勝ち抜けるSS」の輪郭が見えてきた

疾風怒濤の3月を総括

当社のSSは車検が得意で、毎年3月が最も油外収益を稼ぎます。
今年3月は直営5店舗で9,000万円以上の油外収益を得ることができました。
営業利益は昨年同月比1,900万円増の3,300万円でした(表1)

この数字は、当社のギネス記録です。油外ギネスを12月ではなくて3月に更新したこと、しかも洗車などの前売り販売を一切せず、実販売・実作業で得た収益であるのは、当社の体質が変化したことを意味しています。

立役者の筆頭は「車検」です。

3月の入庫台数1,147台、粗利4,500万円は総粗利の半分を占めており、ダントツの貢献度です。

「1~3月の車検入庫目標2,500台、1億円を獲得しよう」と3カ月間のキャンペーン目標を掲げていました。実績は入庫2,667台、粗利1億90万円となり、何とかクリアできました(表2)

 

SS運営経費が高いとバカにされますが・・・

もちろん経費もかけました。 車検獲得に費用対効果の高い販促は、折り込み広告・インターネット広告・ミラーリングです。これらを前年並みに実施したほか、入庫インセンティブ(景品)として新たに500万円の予算を計上(2,000円x2,500台分)。コールセンターも強化し、リピーターヘの電話や新規問い合わせに対する受注率を上げました。

SSの3月の総経費は6,300万円、1店舗当たり約1,300万円です(上記・表1参照)。 業界の常識を超える数字に驚かれるかもしれません。非難めいた声も聞きますが、投入した経費以上に収益を増加させることができたかどうかが「経営」なのだろうと思ってやっています。ですから、費用対効果の高い方法を探索することには一生懸命です。

表3は、3月の費目別の経費増加額と、得られた収益増加額をまとめたものです。

新たに投入した経費は1店舗当たり月間平均160万円。これに対し油外収益は月間540万円増加しました。つまり費用対効果は3.3倍です。

商品別に見ると「車検」は2.9倍、「レンタカー」は車両台数を増やしたので1.4倍です。これから夏にかけて、レンタカー車両は大きな収益源となります。「車販」はコストを増やさず収益が増えました。1店舗当たり150万円の増収で、費用対効果98倍です。

とりわけ「個人向けカーリース」は設備投資もなく、在庫負担もなく、クレーム対応の手間もなく、淡々と告知活動を続けるだけで、見込み客が累積していくビジネスです。「ブルーオーシャン市場」(競争相手のいない未開拓市場)は、かくもスムーズにビジネスが拡大するものかと驚かされます。

売れるのは 車検、車販、レンタカー

さて、当社の決算は6月です。3月で第三4半期が終了したわけですが、今期はまだ一度も月間単位で赤字を出していません。安定的に黒字体質へと変化していることに喜んでいます。総経費を油外収益だけで賄えるようになったので、燃料油口銭に赤くなったり青くなったりしなくて済みます。

この5年間の推移を振り返ってみることにします(表4)

①燃料油はジリ貧
ガソリン販売量は減っても来店客数が減るのは困るので、新規客に対するリスト取りや来店促進策などは継続していますが、それでも減販が止まりませんでした。でも、今期に入ってやっと減販が止まり、ほっと胸をなで下ろしています。

②車検は中核商品
車検台数は5年前から1.7倍増して月間平均1店舗当たり151台。粗利は500万円を超え、当社SSを支える屋台骨です。法定需要商品ですから、お客様に選ばれるよう、商品力の強化を心がけています。そして、獲得台数に応じて設備投資や整備士を確保し続けてきました。

③カーリースが車販を牽引
長らく車販台数は月間平均5、6台で横ばいでしたが、31期は1店舗当たり13台にまで増えました。昨年度に投入した個人向けカーリース「定額ニコノリパック」が起爆剤となり、当社SSは「自動車販売店」の顔も持ち始めました。 車が売れると、付随して下取り収益も増えます。保険、鈑金、車検などへの波及効果が高いので、車販は今後の成長株と言えます。

④レンタカーは裏切らない
レンタカーはもはや定番商品です。「看板」(ブランド)と「設備」(車)があるので、自動的にお客様が来てくれます。ある意味でガソリン販売に近いかもしれません。一時期CS(顧客満足) を放置したため、売り上げが減少したこともありましたが、改善すると、あっという間に持ち直しました。

⑤従来型油外はジリ貧
洗車、オイル、TBAの類は、当社SSは力を入れていません。売れないわけではなく、車検時に整備を集中販売しているだけです。

 

あわや「ブラック企業」か?

ーなどと、まぁ黒字化の自慢話にお付き合いいただいたわけですが、月1300万円の油外作業をこなしているのは人です。そこで人件費の使われ方を調べてみて、愕然としました。

SS業界には、人件費の何割を油外収益で賄っているか、いわゆる「人件費効率」という指標があります。かつては、当社も100%を目指したものですが、いつの間にやら200%を超え、この3月は、なんと300%を記録しました(表5)

ほくそ笑んでいる場合ではありません。社員1人当たり労働時間が、月間243時間。とんでもない 長時間労働を強いていたのです。昨年3月が228時間という異常値だったので、「しっかり人員を確保するようにー」と厳命したにもかかわらず、昨年に輪をかけて劣悪な環境です。

社員平均243時間ということは、車検作業が集中する整備士に限ると、もっとひどいはずです。連日、夜半過ぎまで勤務していたに違いありません。3月という特別な時期とは言え、この調子が続けば、いずれ体を壊し、心身ともにボロボロになります。「ブラック企業」のレッテルを貼られてもおかしくありません。

人員確保が喫緊の課題
その源は足元にあった

当社の必要人員に対する考え方は次のとおりです。

 ➊総粗利の4割までを労働分配率として、店長に権限を与えています。
 ➋3月の総粗利は全店で9600万円でしたから、
  最大3800万円を人件費に充当できる計算となります。
  ➌しかるに、投入した人件費は3000万円でした。
  ➍残り800万円。社員の平均給与が37万円ですから、
  20人を追加投入したとしてもお釣りが出ます。
  ➎せめてあと10人増やしていれば、1人当たり労働時間は200時間以下になったはずです。

この数年間、店長たちに「増員しろ」と言い続けてきましたが、なぜか馬耳東風。
SS経費が増加することを店長たちは、本能的に忌避します。「増員しろ」と店長たちに申し渡した後、そのまま放っておいたのが、そもそもの間違いだったのかもしれません。

かくなる上は、本社がどんどん採用してSSへ送り込むしかありませんが、なかなか思わしい結果は得られません。そこで着目したのが、いま当社で働いているアルバイトスタッフです。

当社にはSSや他の事業所、そして本社を含めると、110名の社員、160名のアルバイトが在籍しています。条件を満たすアルバイトは社員に登用し、彼らの能力をもっと活用すればいいのではないか・・・と考えたわけです。

アルバイトの月間勤務時間は100時間未満の人もいれば、150時間以上の「フルタイム」 勤務の人もいます。
そこで今般、アルバイト(非正規雇用)から社員(正規雇用)に登用するための条件やルールをつくり、発表しました。

すると、すでに条件を満たしているアルバイト3名がさっそく希望し、晴れて正社員となりました。時給で働いていた時とは違います。与えられた職責を果たすため、バリバリ働いてくれると 期待しています。


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