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増田信夫の油外放浪記  SSスタッフの地位向上を目指したい

油外伸長が踊り場に

当社SSの昨年12月実績がまとまりました(表1)。
5店合計で営業利益は1,770万円、燃料指数はマイナス4でした。

過去3年間と比較すると、2桁成長していた油外収益が、今期は2%増に止まってしまいました。GDP(国内総生産)なら2%成長は評価されるかもしれません。しかし、当社は1SS当たり年間5,000万円の営業利益を稼ぐ体質づくりを目指していますから、この足踏みは気がかりです。

快進撃をストップさせたのは、車販と車検です。
車販の中でも粗利の大きいのはオートリースですが、その契約台数が伸びませんでした。成長の壁にぶつかったのかもしれません。季節変動もあるでしょうから、今少し様子を見る必要があります。

車検が重症です。夏以降、前年割れが続いています。昨年12月はたかだか1店当たり3台のマイナスですが、気分は良くありません。

今年も1月から車検需要期が始まります。
販促費を増額して1~3月に1,300万円(1店当たり260万円)を投入する予定で、巻き返しを図ります。

油外収益の微増にもかかわらず、経費が500万円(1店当たり100万円)も増えました。営業利益がかろうじて横ばいを保つことができたのは、燃料油口銭が改善したおかげです。ガソリン市況が良いうちに、「次の一手」を打っておかなければなりません。

働くことに劣等感を感じさせるSS職場

話は変わります。
「企業は人なり」ー松下幸之助さんの有名な言葉です。

SSとて例外ではありません。SSが生き抜くための大きな要件の一つは間違いなく「人」でしょう。SSの仕事は、皆さまご承知のとおり過酷です。夏は暑く冬は寒い、雨風吹き込む屋外で、ブルブル震えながら1日中立ちっ放し、時に駆け足ー。

さらに販売目標を課せられ、店頭で声かけをする毎日です。給油目的で来店したお客様を相手に、藪から棒に売り込むのは 「飛び込みセールス」と変わりません。

生保レディや証券外務員など、飛び込みセールスはとても難易度が高く、挫折する人が多いと聞きます。しかし、結果を出した人には高待遇が約束されています。

果たして、SSにこうした販売のプロを志して来た人がどれほどいるでしょうか。何となく車が好きで、整備の知識があって就職した人、あるいは、アルバイトをしているうち、上司にほだされてそのまま就職してしまった人が多いのではないかと感じます。

SSに入社して、さぞイメージとのギャップに驚いたでしょう。大好きな「車いじり」の仕事は上司が独占し、誰もやりたがらない「飛び込みセールス」が新人に押し付けられます。見習うべき販売のプロも職場にいません。孤軍奮闘です。

そもそも販売のプロを目指したわけではないと、さっさと辞めて適職を見つければいいものを、自分が抜けると仲間や上司が困るからと、ずるずると頑張ってしまう。

こうして自分を殺して会社のために頑張ってくれているスタッフがほとんどです。会社は、彼らに対して十分に報いてきたでしょうか。
報酬の問題だけではありません。SSで働くことに社会的な尊厳を何とか持たせたいものです。

かつてSSは、給油作業や洗車など、誰でもできること、機械ができることを「代行させていただく」ことで収入を得てきました。厚労省役人からは、「雑役夫」と称されたものです。 まさか今も「SSはお駄賃商売」「人は低賃金でこき使うもの」とお考えの経営者は、本稿の読者ではないと思います。

しかし現在、カーディーラーのフロントスタッフや整備士と同等、いや、それ以上に幅広く手厚くきめ細かいサービスをしているにもかかわらず、なおもSSは、社会から不当に貶められたイメージが根強く残っているのも事実です。

SSスタッフが近所付き合いの中で、あるいは配偶者の親戚たちに、胸を張って「SSで働いています」と言えない胸中を折につけ感じます。
本当に悔しく、彼らに申し訳なく思います。そして私の憤りのやり場は、せめて給与水準の高い職場をつくろう、そのためには高収益SSをつくるしかない、との思いでやっています。


SSに人が来ないのは待遇で負けているから

いったい私たちSS業界の平均年収は、どれくらいでしょうか。
全国石油協会によると、所長クラス(49.1歳)で432万円、一般社員(41.6歳)で313万円だそうです。概ね400万円弱というところでしょうか。

民間企業の平均年収が421万円と言われます。仕事の厳しさを考えると、やはりSSは「低水準」と言わざるを得ません。


さらに、業界別年収ランキングをインターネットで調べてみました(表2)。

「おっ?石油業界がトップ10に入っているではないか」と思ったのも束の間、蓋を開ければ、これは元売会社であって、石油販売会社はランキングのカテゴリーにさえ入っていませんでした。生活インフラの一翼を担っていると自負するSS業界も、世間的には半端な扱いにすぎません。

ちなみに、小売り業の平均年収は表3に示す通り、493万円。
SSより100万円高いのが実情です。

中古車販売業界の平均年収も出ていましたので、表4に示します。やはりSSより50万円高いですね。

「人並み」待遇でもまだ足りない

「SSに人が来てくれない、採用できない」と嘆いているだけでは、誰も助けてくれません。 スタッフたちに人並みの生活を提供し、かつ熱意ある優秀な社員を採用するには、給与水準は異業種と同等以上にしなければいけないと考えてきました。

神奈川県の平均年収は525万円です。当社のSSは経営努力の甲斐あって、2年前にこれをクリアし、2017年、ようやく600万円を越えました(グラフ1)。これは横浜市のサラリーマンと同等レベルです。

  

表4を見ると、中古車業界大手USSにも引けをとりません。我が社の車販担当者が、少なくとも給与面で他社に転職することはなくなったと思います。
ただし「人並み」では、まだまだ我が社員も即いた顔を上げられないでしょう。

次の目標は、平均年収700万円です。労働分配率を30%台として、1人当たり年間2,000万円の利益を出す必要があります。時間当たり生産性にして6,000円以上。現在の生産性が5,000円程度ですから、あと1,000円改善しなければなりません。

そのための方法論は、これまで本稿で述べてきたことのさらなる深化だと思います。
すなわち、生産性の高い商品へのシフト、販売件数の明示、手順の確立、日々の声かけ件数やヒット率の改善へとプロセス管理目標を設定し、キメ細かく追求していくことになります。

SS店長を花形職種に

子供の頃、私の「将来の夢」は戦闘機のパイロットでした。隔世の感がありますが、まさかガソリンスタンドのオヤジになっていようとは。
それはともかく、SSスタッフや、SSを志す人にとって、店長は「花形」であるべきだと思っています。現場に密着しながらも販売や労務に長け、知識、経験、リーダーシップ、そして責任感があり、誰もが憧れる存在です。

その思いで3年前、店長の評価基準を変えました。業績を上げた分だけ評価されます。SSの年間営業利益が5,000万円に到達すると、店長の年収は1,500万円を超えることになります。

職業別年収ランキングを調べてみたので、表5に示します。

奇しくもパイロットの年収が1,500万円ではないですか(むろん戦闘機ではなく旅客機のパイロット)。パイロットは昔も今も花形職種ですが、想像を絶する激務だと聞きます。それに見合った年収が約束されているのでしょう。

SSの持つ資源を駆使し、毎年5,000万円以上の利益を出し続けるSSの店長は、決してパイロットや医師に見劣りしないと思います。もちろん努力を求めますし、これに応えられる能力を持った人材もまた求めたいと思っています。





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