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増田信夫の油外放浪記  あえてガソリン販促が新しい

ガソリンにSSの足元がすくわれるかもしれない恐怖

当社のSSは、1店当たり年間3,000万円の営業利益を稼ぐようになりました(グラフ1)。

     

前号で述べたとおり、2020年までに1店当たり5,000万円を稼ぐSSにしよう、すなわち全店で2億5千万円の営業利益を目標にやっています。

あと1億円足りません。
今年中に、この1億円を埋める手立てを見つけたいと思っていますが、気がかりなことになっています。

表1は、当社SSの2月の実績です。
前年同月と比べ、経費が350万円、粗利が1,100万円ともに増加し、これにより、営業利益は750万円増えました。

      

手放しで喜べないのは、粗利増の8割を燃料油が占めているからです。燃料市況は、経営努力と無関係に変動しますから、ガソリン依存は、極めて不安定な経営を余儀なくされます。経費の増加以上に油外収益が増加していなければ、健全とは言えないわけです。

当社SSは、この3カ月間、連続して「油外の収支バランス」(=油外増加額÷経費増加額x100) が100%を下回っています(グラフ2)。 危険水域アラートが鳴りっぱなしです。

レンタカーに新たな活路

「アイコス」や「ニンテンドースイッチ」のように、需要が供給を上回り、連日押すな押すなの行列ができるような商品の二ュースを聞くと、実にうらやましく思います。

通常、SSの油外商品はお客様のニーズを一人ひとり確認し、解決策を提案して販売します。店先に商品を並べるだけで売れるのは、燃料油以外ではレンタカーだけでしょう。

毎年2月はレンタカーの需要が冷え込む時期ですが、当社仲町台店の店長は、果敢にも車両のラインナップを入れ替え、688万円を売り上げました。前年より300万円増加です(表2)。






店長いわく「利益を上げるのに一番手っ取り早いのは、レンタカー」とのこと。
でも、タイムズのカーシェアののぼりが周りにどんどん立つようになってきたので、逆に、「カーシェアが取り扱っていない4駆7人乗りSUVを7~8台置いてみたところ、これが見事当たった。しかも、今まで稼働率の低かった1500~2000ccクラスの乗用車までが、よく稼働するようになった」と満面の笑みです。

私たちは、これまで「レンタカーは車を増やした分だけ売り上げが上がる」と考え、それ一辺倒でした。しかし、品揃え(車種)を工夫すれば、さらに売り上げを伸ばせることを、この店長は示唆してくれたと思います。

中古市場でやや高額な車種ではありますが、SUVは「レンタカーとして使い切った後も、残存価値があるから損をしない」という計算も店長にはありました。あっばれ!


車検獲得の限界を突破するには

レンタカーはSSにとって、かくもありがたい商品です。
しかし、残念ながら商圏内需要をカバーしきれるほど台数を抱え込むことはできません。SSの規模がキャパシティを制限してしまうからです。一般に300~500坪のSSだと、レンタカー70台、月間売り上げ500~800万円くらいが限界値でしょう。

つまり、レンタカーだけでは 当社のSSは生き残れません。複数の「油外の柱」を欲しているわけです。ですから、SSスタッフは「お客様ニーズを捉えて、提案する」活動を地道に繰り返すしかありません。

これが最もシンプルにできるのが車検です。
車検の「ニーズ」は、お客様ではなく法律(法定需要)が決めてくれますから、お客様は「いつ買うか」ではなく「どこで買うか」だけを判断します。

そこで、当店がいかに「便利」で「信頼」でき、「お得」であるかを伝えるだけでも、3~7割の受注を獲得できるのです。オイルやタイヤを売るより、はるかに高い受注率です。

さらに車検には必ず点検がついています。ですから、車検を受注すると、お客様(本人)以上に、SSは整備ニーズを把握できます。つまり 車検は、各種油外商品の「入り口」でもあり、生産性が高いのです。

車検より、さらに入り口に位置するのは「車販」です。車を売れば、車検や整備だけではなく、 保険もコーティングも鈑金も、将来に渡って丸抱えすることができます。
こういうわけで、車検 、車販を年々増やしていきたいわけです。

車販は「新車リース」を発売して以降、活気づきました。まだまだ伸び代を感じます。
しかし、車検に関しては、年間8,500台 (5店合計)に達して以降、頭打ち状態が続いています。 今の方法論で獲得できる限界値に達しているのかもしれません。

車検のターゲットは、主に給油来店客と商圏客です。
商圏には折り込み広告、ポスティング、ミラーリング、交通広告、ホームページなどを駆使して継続的に告知していますが、今以上に「広く深く」やるしかないのでしょうか。でも、やればやるほど、販促効率は悪化しそうです。

では、給油来店客はどうでしょう。車番認識システムを活用し、「声かけ」を徹底してきました。ということは、もう「絶対に当店では車検してくれない」お客様しか残っていないのかもしれません。

かくなるうえは、給油来店客そのものを増やすしかないかもしれない、と思い始めています。

昔取ったきねづか「ガソリン増販」

給油来店客を増やす、すなわち、ガソリン増販活動は、かつては元売会社がこぞって大きな予算を割いてくれました。おかげで全国からたくさんの増販企画をご用命いただき、当社は、会社を立ち上げることができました(創業1986年)。

ところが、ガソリンマージンが悪化すると一転、当社は「モノくれ屋」「諸悪の根源」と誹りを受ける始末です。
それはともかくとして、 今やガソリンに販促費をかける元売会社もSSも、とんと見かけなくなってしまいました。極端なガソリン安売り店も鳴りを潜めたようです。

この状況は、逆に好機かもしれません。
「人のいく裏に道あり花の山」とは、株式投資の格言ですが、思えば30年前、ガソリンは「掛 け売り」が主流で、「現金フリー客」は誰もが軽視していました。

そこで私は、現金客を徹底的に会員化することで、数多くのSSを軒並みガソリン増販に導くことに成功した経験を、とりあえず持っています。

当時と今では、SSを取り巻く環境はまったく異なりますし、増販目的も、燃料油収益ではなく油外収益の拡大ですが、ちょっと真面目に考えてみました。

当社SSの給油客がいくら支払っていただいているか商品別に示したのが、表3です。
L当たりで 客単価粗利を測る、昔懐かしい考え方です。

   

燃料油は222kl売れ、粗利は2631千円。L当たり11.9円です。

車検粗利は5875千円でしたが、このうち給油客が占めるのは50%くらいでしょう。L当たり13.2円です。

車販も給油客は50%と考えました。L当たり8.7円。

レンタカーは給油客は利用しません。L当たり0円。

その他油外は給油のついでに売れたものですので100% 。L当たり9.6円。

合計すると、当社の給油客は、燃料に11.9円、油外に31.6円、合計43.5円/Lの粗利をもたらしてくれました。

ということは、仮に燃料が10kl増販すれば、粗利が435千円増えます。100kl増販なら435万円、300kl増販なら1,300万円の粗利増加を見込めます。

しかしコストも増えます。販促費だけでなく人件費や設備費も増えるでしょう。シミュレーションの詳細は割愛しますが、まずは毎月25klくらいの増販を目指し、L当たり3~5円の販促費を投入してみるのが妥当だと判断しました。

なお、販促費を燃料価格に転嫁すること(つまり安売り)は考えません。一時的な効果は絶大でしょうが、長期的には副作用のダメージが大きいからです。

年間利益1億円のSSづくりへ新たな挑戦

さて、当社の直営店は5店舗ありますが、最初に立ち上げた仲町台店以外は、不採算店を運営継承したものです。レイアウトや機能面に制約がありながらも何とか運営を続け、ようやく年間3,000万円の営業利益を得るに至り、5,000万円の大台乗せも現実味を帯びてきました。

こうなると、次は年間1億円の営業利益を稼ぐSSを創りたくなってきます。
各方面にお願いしていたところ、好立地物件が見つかりました。本社から20km以上離れていますが、典型的な郊外型ロードサイドの600坪の更地です。

20年間の定期借地で賃料は月150万円。「高すぎる」と飲食、洋品など多くの事業者が敬遠したため、当社にお鉢が回ってきた次第です。

初期投資はSSと整備工場を建設するのに3億円ほどかかります。石油会社からは「投資基準に見合わない。やりたいなら自己投資でどうぞ」と突き放されてしまいました。

銀行からも「ガソリン需要は年率2%で減少していくのに、何をバカなことを!」と一笑されました。でも「ここなら年間1億円の利益を出せます」と説得に成功し、何とか資金調達の目処もつきました。

今秋オープンを目指して建築事務所などへの依頼も終わり、私の今の仕事は人員の確保です。
店長、販売担当、整備士合わせて10名、さらにアルバイトスタッフが30名ほど必要です。既存の5店から回せる人員はいません。というか、既存店の人員も不足気味で、まったく余裕がありません。

新規に採用することになります。しかし、従来の方法では到底採用できる人数ではないので、社内に採用プロジェクトチームを作りました。まずは待遇条件を改善し、ホームページを抜本から見直しました。また、1次面接は、採用担当者が応募者の下へ出向くようにしました。これには応募者も大感激してくれました。

その結果、約5カ月間で58名の応募があり、うち整備士5名、販売担当2名を採用するに至っています。かつてなかった手応えを感じていますので、新店オープンまでには初期教育訓練を終えた精鋭たちが勢揃いしていると期待しています。




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