情報サービス・出版物

  1. トップページ
  2. 情報サービス・出版物
  3. 増田信夫の油外放浪記一覧
  4. 油外放浪記記事

ニコニコステーション堀之内がオープンしました

2018年はガソリン様様だった

新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
いつものように当社SSの実績から報告します。表1は昨年11月の実績です。

     

営業利益は、かろうじて前年より140万円増えました。

燃料油、油外ともに粗利が300万円以上伸びたのですが、経費も500万円以上増えてしまいました。あいかわらず、経費の増加分を油外の増加でカバーしきれていません。
それでも何とか営業利益を確保し続けられているのは、燃料油のおかげです。

2018年の燃料油の恩恵は凄まじく、前年より3,000万円以上も稼いでくれました(グラフ1)。

しかしこの収益構造は、ひとたび安値競争が勃発すれば、たちまち利益が吹き飛ぶ脆弱性をはらんでいます。SSが「水太り」体質に陥っていることに、焦りを感じています。







年間1億円の営業利益を生む店舗開発

昨年10月末、当社は6店目のSSを新規オープンしました。
ゼロから店舗開発をした店としては、23年前にオープンした 第1号店「仲町台SS」以来となり、セルフ給油を前提としたカーケアステーションづくりは初めての試みです。

東京都八王子市に、572坪の土地案件を石油商社からご紹介いただいたのが2017年7月のこと。生活幹線道路に面し地型も良いので、上場企業の回転寿司チェーンなどと競いましたが、当社と 定期借地契約をしていただく運びとなりました。

賃料が高いため、石油商社からは「わが社の投資基準を大きく外れています」と支援を受けられません。仕方なく銀行を説き伏せ、100%自社投資によるSS物件となりました。

店名は「ニコニコステーション堀之内」です(表2、図1)。

    

当社は従来から、年間5,000万円以上の営業利益を出し続ける店(コードネーム:ニコニコステーション)を創ろうと、全店が日々努力しています。

しかるに、この新店は、最初から「ニコニコステーション」の冠をつけ、3年以内に年間1億円(月間850万円)の営業利益を目指します(表3) 。

従来以上にお客様との関係づくりが求められます。そこでこれを機に、従来から感じていた課題を解決しようと取り組んでいます。

つまり、元売会社が提供してくれるPOSが油外販売に適していません。しかもSSのセルフ化進展に伴って会員カードが形骸化したため、お客様個々の購買履歴がまったく分からなくなってしまいました。

ましてや、購入に至るプロセス、購入後のアフターサービスの履歴、点検によって知り得た車の状態、接客スタッフやコールセンターがつかんだお客様の事情やニーズ…。これらの情報がまったく分からないまま、私たちSSは通り一遍の「声かけ」をせざるを得ないのです。

車番認識システムが、この問題の一部を解消してくれました。その効能たるや凄まじく、当社のSSは車検専門店やカーディーラーなどの競合店を凌ぐ販売力を手にすることができました。

しかしまだ完全ではありません。もっと広く深くお客様とコミュニケーションをとるためには、両システムの統合が不可欠です。

その一方で、LINE販促やスマホ決済、顔認証など、世の中はどんどん進化しています。このままでは、SSに新たなシステムを追加するほど、断片的な情報があちこち分散することになるでしょう。

ここは一つ、元売仕様のPOSにこだわらず、SSの基幹システムを自ら開発し投入しようと考えました。1年をかけてプロトタイプができましたので、今、堀之内SSでの実戦運用により完成度を高めているところです。


1年がかりで人員確保

新規店舗の開発にあたり、人員確保も大きな課題でした。
苦い経験があります。当社は2005年、立て続けに赤字SSを運営継承しました。平塚SSと所沢SSです。

ほとんど準備期間のないまま継承したので、スタッフは既存2店から拠出し配置しました。その結果、かろうじて利益を上げていた既存2店もろとも、全店大赤字に転落してしまいました(表4)。元に戻すわけにもいかず、ニッチもサッチもいかなくなったのです。

これに懲り、以後、新しいプロジェクトを立ち上げる時は、事前に人を充てる習慣が身につきました。

今回も本社内に「堀之内SS採用プロジェクトチーム」を結成し、1年がかりで募集活動を行い、新規採用をしては既存店に投入し、育成してきました。これが既存店の人件費増加の一因ともなったわけですが、お陰で堀之内SSがスタートしてからも、既存店の営業成績は落ちていません。

未経験の新人だから成果を出せた

アルバイトは現地採用です。
多摩ニュータウンも高齢化の進展が著しい団地街です。しかし幸いにも、都心で手狭になった大学が15以上も進出している学生街でもあります。

夏休みが終わった昨年9月、「新規オープン」の募集広告に50人以上の応募があり、あっという間に35名を採用できました。多くのSSが人手不足で悩む中、申し分けない気もしますが、SSを利用した経験どころか、運転免許さえ持たない若者たちがほとんどです。

昨年9月末から約1カ月間をかけ、挨拶、礼儀作法、勤務態度、清掃などSSのイロハの訓練に始まり、リストの獲得、車検の獲得、レンタカーの貸出などの研修を重ねてきました。
当時SSはまだ建設工事中ですから、座学とロープレの繰り返しです。

そして昨年10月29日、開所式を迎えます。いよいよお客様を相手に本番です。その成果を(表 5ーA) に示します。

      

来店するお客様はすべて新規客。にもかかわらず、80%がリスト取りに応じてくださり、56%が車検を予約してくれました。

どんなお客様にも臆することなく、教えられた通りにやったからだと思います。なまじSSでの勤務経験や先入観があるスタッフでは、この結果は出せなかったかもしれません。

オープンイベントでリスト獲得3000件、車検予約1500件

このような「慣らし運転」を22日間実施し、昨年11月21日から5日間、オープンイベントを開催しました(写真1&2) 。

その結果が(表5ーB) です。
23年前に実施した仲町台SSのオープンイベントでは6日間で「ガソリン335kl」を販売しました 。同規模のイベントにもかかわらず、堀之内SSでは 期間中、136klしか販売できませんでした。

仲町台SSは当時、同時給油8台のフルサービス、片や堀之内SSは同時給油6台のセルフサービスです。しかも給油後、販売室へ来ていただき車検をお勧めしたので、お客様の店内滞留時間は3倍以上長くなってしまいました 。

なかなか入店できず、沿道で30分、40分と行列待ちをしていただいたお客様には申し分けなく思います。とは言え、5日間のイベントで新規客から1,500件の予約車検を獲得できたことには手応えを感じています。「SS車検」に対して偏見や抵抗感を持たないお客様が確実に増えていると実感しました。

それからまだ検証中ですが、堀之内SSのオープン以降、車検を予約してくれたお客様の再来店率は、してくれなかったお客様より4倍高いという報告がありました。

ニコニコステーションは「ガソリンで集客して油外で稼ぐ」ことを企図した店です。しかし逆に、車検を販売すると、顧客の固定化、すなわちガソリン増販に対しても効果があると言えるかもしれません。

地域ローラー作戦は大失敗

お客様の行動パターンが20年前と違ってきたと感じたことがもう一つあります。
堀之内SSがオープンする2週間前から、ご近所への挨拶回りを実施しました。本社や他の事業所からも応援を駆り出した、商圏内3万世帯へのローラー作戦です 。

二人一組で、一軒一軒インターホンを押し、ご挨拶の粗品とクーポン券を手渡し。笑顔で握手し、口コミ効果も狙おう。お会いした方には「お得なオープンイベントの招待状を送ります」と言って、リストに記入していただこう。

こうして7,000件のリストを獲得し、3,000人以上の新規来店を事前に確保しようとの目論見です 。

仲町台SSのオープン時は、この手法が大成功を収めました 。
しかし今回、ドアを開けて面談してくれたのは3,078戸。獲得できたリストはわずか711件でした 。

実に364人日を投入したにもかかわらず、惨憺たる結果に終わってしまいました。
この20年で、一般市民の来訪者に対する警戒心は随分高まったと感じます。とにかくドアを開けてくれません。

インターホンのモニターで観察され、居留守を使われてしまいます。それでも若い女子が訪問すると、3割くらいドアを開けてくれるのですが、住所やお名前はなかなか明かしてくれません。表札などで客観的に分かるにもかかわらず、です 。

人件費やツール制作費など投入コストを合計すると、リスト1件獲得するのに1万円弱かかった計算です。何という無駄遣い!

改めてガソリンの集客力を思い知らされました。何しろお客様の方から来てくれて、用紙を差し出せば8割以上が記入してくれるのですから 。

間もなく「平成」も終わろうとしています。昭和生まれの私の常識が通用しない世の中に、どんどんなっていくのでしょうね。

油外放浪記一覧へ戻る