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2023.06.27
油外放浪記 第174回「設備投資なくして増収なし」
車検、車販、レンタカーともに大増収
一般的に2月と8月は、「ニッパチの枯れ」と言われ、商売が停滞する閑散期です。
しかし当社のSSは、2~3月が車検や車販、8月がレンタカーと、主力商品の需要期が到来するおかげで、「稼ぎ時」となっています。
2月の実績を(表1)に示します。
営業利益は2,380万円(8店合計)。
これまで2月の過去最高は、2,133万円でしたから、記録更新です。
昨年と比較すると、燃料指数が10も改善しました。経費を2,600万円増やし、油外粗利はこれを大きく上回る4,600万円の増収です。アッパレ!
車検、車販、レンタカーともに大きく伸び、足を引っ張る商材はありませんでした。SS現場もノっていた様子が伺えます。
車検販促はWebが効く
車検は、完全復活したと言っていいでしょう。
1月に油外トップの座に返り咲き、2ヵ月連続の王座。車販も頑張りましたが差は縮まらず、車販担当者はさぞ悔しかったことでしょう。
車検が躍進しているのは、いったん縮小した販売促進活動を、「倍返し」とばかりに大強化したからです。これまでミラーリング、車検名人制度などを紹介してきましたが、今回はWeb販促の効果について紹介します。
DM(ダイレクト・メール)、ポスティング、ミラーリング、店頭POPなどの告知物を見て、興味を持ったお客様の多くは、ホームページを訪れ、情報を確認されます。良い車検店を求めて、はなから検索し、比較する人もいるでしょう。
当社は昨年7月以降、検索順位、リスティング広告、バナー広告、ページデザインなどにお金をかけてきました。
その効果は歴然です(グラフ1)。
2月の販促費は前年比1.3倍ですが、車検申込数は2.3倍。CPO(1件獲得当たり販促費)は約半分に改善しました。
設備キャパが車検増収の足枷に
毎年この時期になると浮上するのが、車検の設備キャパの問題です。
車検が規制緩和されたのは1995年。当社はいち早く参入しました。翌96年3月の入庫台数は416台。この記録は未だ破られていません。
当時は、仲町台店のみを運営しておりリフトは2基。なまじこの経験があるため、リフト1基につき月間200台くらいの車検はこなせるはずだと、私は長らく思い込んでいました。
しかし、当時の当社は「通すだけ」のユーザー車検代行屋さん。点検も整備もおざなりで、1台当たり車検粗利は15千円程度の「なんちゃって車検」でした。
現在の1台当たり車検粗利は39千円です。この付加価値を上げるためには、リフト1基当たり月間入庫は100台が限界です。それが理解できるまで時間がかかりました。
整備士に無理な要求を突きつけ、口論したものですが、大いに反省しています。
車検台数を増やすなら、リフトの増設が大前提です。
当社は居抜きで運営継承した店が多く、200台の車検を実施する前提で造られた店ではありません。ですから店を改造したり、隣接地などを借りてリフトを増設してきました。検査業務も指定工場であれば、土・日曜日に稼働できるので、条件が整えられるSSは、努めて指定工場を取得してきました(表2)。
しかし今年も、キャパオーバーで注文をお断りしてしまう店がたくさん出てしまいました。キャパシティ欄で「×」印のついた店です。
車検客に対するアフターフォローとして6ヵ月ごとの定期点検サービスを強化したこと、また、車検台数が増えてため、納車前の点検整備が増えたことも一因です。
うすうす分かっていたこととは言え、いざリフトが足りなくなった事態に直面し、頭を悩ませているところです。
車販が復活の兆し
昨年8月をピークに減少傾向にあった車販ですが、2月に回復の兆しを見せてくれました(グラフ2)。
当社のSSは、新車も中古車も、販売もリースも扱っています。
今の主流は「中古車」の「販売」です。
現在に至る経緯を整理してみます。
当社が自動車販売に取り組み始めたのは2004年からです。在庫を持たない「オークション落札代行(オークションダイレクト)」から始めました。
当時は、お客様一人ひとりが有する油外需要(洗車、メンテナンス、車検、鈑金など)のうち、どこまで自店で獲り切ることができるかに腐心していました。
ですから、「車を販売すれば、発生する油外ニーズを根こそぎ獲れるに違いない」と考え、月間販売目標を1店当たり20台と定めました。
そして10年間、ああでもないこうでもないと、もがき苦しみました。SSが見込み客を見つけ、車販専任部隊(本社)が商談する、といった連係プレーなども試しましたが、結局、平均すると、月間5台/店も売ることができませんでした。
販売担当者の育成にも多くの時間を割きましたが、成功しませんでした。
そんな時、とある自動車販売店が新車リースで実績を出しているとの噂を耳にしました。さっそく見学させてもらい、未知の世界だったので教えを請い、社内で延べ何十時間もブレストし、商品内容や販売手順をSS向けにアレンジし、2015年に販売してみました。
同じく無在庫販売ですが、今までの苦労は何だったのかと思うくらいヒットしました。
そして、新車リースが活気づくと、従来の中古車無在庫販売へも相乗効果をもたらします。どの店も月間200万円の収益が上がるようになり、おかげで当社のSSは全店黒字となりました。
しかし、新車リース市場はあっという間にレッドオーシャンと化しました。
最初の頃はSSでキャンペーンを実施し、来店したお客様をつかまえ、「新車を賃貸する」という考えを示すと、大きな驚きと感心を示してくれたものです。
ところが次第に、自動車店やカー用品店に「月々定額○万円」 というのぼり旗が並ぶようになりました。果てはカーメーカーが「車のサブスク」のCM(コマーシャル)を四六時中流し始めます。
リースの新鮮味も、SSであることの優位性も急速に失われてしまいました。
そうこうしているうちに2020年、新型コロナ「第1波」の到来です。当社は、余剰レンタカーを処分する必要性に迫られました。中古車検索サイトを活用してみたところ、約500台のレンタカーが、2ヵ月足らずで完売です。その威力を思い知りました。
これを機に、当社は中古車在庫販売に舵を切ります。
現車を見せるからお客様は納得するし、今ある在庫が明日もあるとは限らないので、意思決定も早い。レンタカーを売り切った経験はスタッフの自信にもなりました。
そして2022年。年間販売台数は2,400台となりました。つまり1店当たり月間25台。18年目にして悲願達成です。
一方で、現在も新車リースは年間200台ほど扱っています。しかし車販台数全体に占めるシェアは、ピークが2017年の46%。22年は7%、今年は2月現在4%にまで落ち込んでいます(グラフ3)。
理由は簡単です。
現車がある方が圧倒的に「売りやすい」。人は易きに流れます。
しかし、「楽」の裏には「苦」もあります。
毎月200~300台の中古車を仕入れ、加修し、ネットに掲載し、在庫管理やSSに配送するための設備と組織を作りました。その経費が今、SSの首を絞めています。
車検も車販も、事業規模の拡大を目指すには設備投資が必須です。そのコスト増を大きく上回って増収した当社SSの2月実績は、まさに「アッパレ!」というわけです。