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2023.06.27
油外放浪記 第173回「油外放浪(迷走?)のタネは尽きない」
先行投資の経費をカバーしきれない
当社のSSはマイナス成長が続きます。1月の営業利益は1,800万円(8店合計)で、昨年同月より450万円下回ってしまいました(表1)。
大惨敗です。
燃料油収益も油外収益も前年実績をクリアしました。しかし、経費が2,350万円も増えてしまい、経費増加分をカバーするには遠く及びません。
年度始めに立てた計画では、1月の経費は1億6,500万円です。700万円近い予算オーバーです。
対する油外収益は、計画に1,500万円届きませんでした。
経費を増やすのは簡単ですが、これに販売力が追いつかない状態が続いています。
春の車検キャンペーンは幸先好調
油外で奮闘したのが車検です。
前年より入庫台数は227台増え、粗利が1,000万円増加しました。
油外の王座を車販に奪われ、1年半もの間、第2位に甘んじていましたが、返り咲きました。
車検が頑張ったおかげで、油外粗利の月間ギネスは、32カ月連続更新中です。
一時縮小した販促活動を復活させました。ダイレクトメール、ポスティング、web広告、ミラーリング、そして、店頭では車検名人による対面販売と、多角的にアプローチしています。
実はLINE販促も侮れません。
ホームページからの車検申し込みが半期で500件を超えました(グラフ1)。
これはLINE告知からのアクセス数が増えたからだと感じています。
現在のLINE会員約8万件に対し、半年間で延べ 45万件の車検案内を通知しました。
・・・というわけで、SSの商圏のお客様は、当店の車検を店で、自宅で、車で、そしてスマホで触れているわけです。
そんな中、今年も恒例の車検キャンペーン (1~3月)が始まりました。
昨年は8店中7店が目標未達という体たらくでしたが、今年は気合い十分でスタート。さっそく 1月は目標をクリアしました(表2)。
銭惜しみの銭失い
1月のレンタカー実績は4,300万円でした(8店合計)。
前年より500万円増え、伸び率も113%と悪くありません。しかし、計画は4,700万円ですから、400万円足りません。
レンタカーは、必要な台数を最適にラインナップしさえすれば、ほぼ狙い通りに収益が上がります。したがって計画未達があると「あれっ?」と疑問が生じます。
調べて原因が分かりました。
当社のSSは神奈川県、東京郊外、埼玉郊外にありますが、例年、冬場は4割くらいの車にスタッドレスタイヤを装着するのが妥当です。しかし今期は経費をケチって、2割しか装着していませんでした。
思えば2年前までは、各店からレンタカー担当者を集め、「レンタカー委員会」を結成し、定例集会をしていました。スタッドレスタイヤについても相互にマネジメントしていたのですが、 一通り経験したところで「免許皆伝」とし、委員会は解散しました。
口うるさく言い続けなければ継続しないと分かっていたにもかかわらず、また同じ轍を踏んでしまったというわけです。
SSレンタカー15年目の真実
さて、当社は子会社を通じてニコニコレンタカーのフランチャイズ・チェーン(FC)本部を運営しています。
最初に、仲町台店でレンタカーを立ち上げたのが2008年のこと。翌09年よりFC展開を開始し、店舗数はピーク時で1,500店を超え、国内のブランド認知率は50%を超えました。
今年2023年は15周年を迎えます。
ニコニコレンタカーの1店当たり平均実績を(グラフ2)に示します。一見、順調に成長しているように見えますが、実はがっかりしています。
確かに創業期は、海のものとも山のものとも分からない事業でした。しかし、15年経った今、SSレンタカーの市場は完全に確立し、なおも猛烈な勢いで成長しています。
・・・にもかかわらず、現在の平均的な店は保有12台、月商89万円。
時間が止まっているかのようです。いまだ5台以下の店舗数は400店ありますし、20台以下の店は、レンタカーの経費さえ賄えていないと思います。
嘘偽りなく申し上げます。
今のSSレンタカービジネスには、1店当たり平均50台、年間売り上げ5,000万円、営業利益2,500万円というポテンシャルが確実にあります。しかしその旨味を知っている店は、当社の直営店と、ほんの一握りの店(おそらく50店程度)だけでしょう。
残念でなりません。せっかくレンタカー事業を始められたにもかかわらず、「儲からない」「手間ばかりかかる」と思い込んでしまっているSS経営者がたくさんいらっしゃる。
これがニコニコレンタカー15年目の実態であると、一人憤慨しています。
一般的な油外商品と比べてく ださい。数千万円の設備投資をしたとして、担当者を育成し、やる気にさせ、スキルや行動量をマネジメントし、顧客管理や販売促進を実施し、しかも、一定期間継続しなければ、投資回収はままなりません。
ところがレンタカーは、適正に車両を保有するだけです。ネットが自動的に集客します。接客や作業はアルバイトレベルのスキルで十分。クレームやトラブルも限りなくゼロにでき、事業を開始した翌月から数百万円を上げることが可能です。
「車検や車販で、月間粗利500万円を得るには時間がかかります。だからその穴埋めのために、まずレンタカーを力いっぱいやりましょう!」と、私はこの15年間、繰り返し熱を込めて唱えてきました。
耳にタコができたかもしれません。私もいささか飽きてきました。
しかし、SSの収益力を自力で確保したいと本気で考える方がいらっしゃる限り、私はこれからも言い続け、情報を開示していきたいと思います。
低調の車販に曙光
さて、油外の王座から転落し、営業利益停滞の「戦犯」となった車販について考えます(グラフ3)。
昨秋から4カ月連続下落し、 あれよあれよと1,000万円下がってしまいました。1月は、 とうとう前年割れ。今期計画に対しては、累積2,800万円マイナスです。
当社の場合、車販の中心は中古車販売です。常時400台以上の在庫を持ち、月に200台以上を販売することを目標としています。すなわち、在庫回転率50%(中古車成約台数÷在庫台数)を維持していたのですが、昨秋以降、40%台を推移しています。
実は、下半期(1~6月)の計画を見直すべきかどうか、迷っています。
ご存知のとおり、 車販は成約タイムラグ(時間差)があります。中古車の場合、成約後、書類を揃え、車庫証明を取得し、登録し、整備してから納車します。納車と同時に入金します。
1月は 178台しか納車しませんでしたが、成約件数は223台ありました。前年の成約は170台でしたので、1.3倍です(グラフ4)。 車販担当者は奮起してくれたでしょうか、スキルも上がってきたでしょうか。もしもこの調子が続くなら、計画を下方修正しなくて済むのですが…。果たして結果はどうなるか。