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2023.09.28
油外放浪記 第180回「車検、レンタカー、車販の新しい取り組みをご紹介」
車検の広告にタレントを使ってみた
今年も暑い夏でした。
まずは当社SSの8月の実績を確認します(表1) 。
営業利益は8店合計で5,500万円。期初に立てた計画は3,880万円でしたので、久しぶりに月間目標をクリアしました。
燃料油販売量も久しぶりに前年を上回りました。コロナ規制が緩和された最初の夏休み、各地のイベントや行楽も復活、暑さも関係したでしょうか。
油外収益が8店で2億円を超えました。前年8月と比較すると、車検とレンタカーが躍進、車販は前年並みにとどまりました。
車検は今回、広告イメージキャラクターとしてタレントを使ってみました。これが前年比200台以上伸びた一因となったかもしれません。
タレントを使うのは、知名度アップ、好感度アップに効果があると聞きます。しかし通常は、契約期間にもよるでしょうが、数百
~数千万円かかり、さらには写真撮影をプロに外注したり、スタジオを借りるなど多額の費用負担がかかるそうです。
ところが「プロダクションが撮影した写真素材が、月々定額で使えます」という方法があると知りました。ならば、試しにやってみよう。まずは8月中旬からホームページで使わせていただきました(画像A) 。
費用対効果が確認できるまで、もう少し続けてみようと思います。
レンタカーの鮮度を保つ
次にレンタカー。
8月が最大の書き入れ時です。去年は鼻の差で車販をかわし油外ナンバーワンでしたが、今年は頭ひとつ抜き出ました。
売り上げの伸び率が125%なので、現場作業も去年より25%増量したでしょう。アルバイトが中心ですが、酷暑の中、受付対応や洗車など、よく頑張ってくれたと思います。
現場作業以上に重要なのが「仕込み」です。お客様満足度の高い車両を、夏までに、どれだけラインナップできるかが勝負の分かれ目。夏に新規客を獲得するほど、大量のリピーターが積み上がります。これが、秋冬の売り上げを支えてくれます。
当社のSSは、8月時点で569台を用意しました(8店合計)。平均車齢は1年8カ月です。
この1年間に、どのくらい車両を入れ替えてきたかをカウントしてみました。
増車が約540台、減車が約440台。つまり1年かけて、8割近い車両を刷新しつつ、都合100台を加えた結果、粗利が前年比1,500万円増えました。
なかなか凄まじい数字です。
当社には車両仕入れ部門があり、販売用の中古車を仕入れる一方で、各店の毎月のレンタカー運用状況を見ながら、車両価値があるうちに売却しています。つまりレンタカーの運用益と売却益の最大化を狙った結果です。
数十台のレンタカーを運用するようなSSだと、なかなか単独で実施することは困難な芸当かもしれません。しかし中古車販売と同じく、レンタカーも「鮮度」が重要なのは間違いありません。
レンタカーの現金決済をやめてみた
レンタカーの支払い方法は、現金、カード、PayPayの3種類です。現金決済は店頭で行いますが、電子決済は、ネットでも決済できます。
事前にネット決済していただくと、貸出手続きが簡略化します。さらに、スマホのアプリを使っていただければ、予約から契約、決済まで完了したお客様が来店されますので、すぐ出発できます。
お客様にもメリットがありますので、事前決済してから来店されるお客様が急激に増えました。アプリの利用者だけで、早くも4割を超えました(ニコニコレンタカー全国平均)。
しかも上品なお客様が多く、事故や乗り逃げ(無断延長) などのリスクが激減することも確認できています。
そこで当社では、一部の店で、現金決済をやめてみました。その結果を(表2) に示します。
現金決済できる3店は、売り上げが前年比142%伸びました。一方、「カード決済限定」とした5店の伸び率は111%でした。
いろいろな要素が絡むので一概には言えませんが、現金決済をやめると、売り上げが30%ダウンする可能性があると、今のところは考えられます。
顧客離れを回避するか、リスク軽減を重視するか、経営判断のしどころです。
単純労働ならスポットワーカーがおすすめ
レンタカーのお客様の来店は、朝と夜に集中します。SSとの兼業だと、朝の7時台、8時台の出発ラッシュが終わった頃にSS本業が本格化しますので、人の配備は、ある程度融通が効きます。
レンタカー専業店の場合はそうはいきません。当社はSSとは別に、6箇所の専業店を出店し、1,055台(8月現在)を運用しています。10時を過ぎると極端に来店が少なくなり、人手が余ります。そして18時頃から帰着ラッシュが始まり、大量の洗車業務が発生します。
そこで「スポットワーカー」なるものを、昨年10月から試しています。
自分の都合で、日・時間・場所・職種などを選んで単発で働く労働者です。
オンライン仲介サービスが乱立していますが、大手4社の登録者数が1,000万人を超えたそうです。
当社の利用時間と経費を(表3) に示します。
主に洗車や最寄りの空港への送迎をしてもらっていますが、働いてほしい日時を指定すると、早い者勝ちで埋まります。本当にすぐ埋まります。
今まで求人してもなかなか応募がなく、苦労していたのが嘘のよう。スポットワークだとマッチング率は9割以上。ほぼ希望時間帯に希望人数が来てくれます。
フリーターや学生が多いかと思いきや、最も多いのが会社員。コロナ緩和や企業が副業を解禁したことが影響しているでしょう。当店も土・日曜や夜の時間帯を希望するので、ダブルワークをしやすいのかもしれません。
他のレンタカー屋さんでスポットワークを経験した人も多く来てくれます。また、当店でスポットワークした人が、お互いに「お気に入り登録」すれば、高い確率でリピート労働してくれるようになります。
さらに、お互いの条件が合えば、スポットワークから長期アルバイト契約への「引き抜き」も可能です。当社ではこれまで8人を採用しました。
・・・ということは逆に、アルバイト雇用を目的に、スポットワークを試用期間と考えてみてはどうでしょう。
人手不足のSSも求人の幅が広がるかもしれません。いずれにせよ、スポットワークという労働スタイルが世の中に定着すれば、SS業とも無縁でいられなくなりそうです。
販売担当者の育成の常識が覆る
最後に車販のトピックス。
当社のSSでは、所定の研修を受け、現場で力を発揮し、店長が指名したスタッフに車販担当を任命しています。しかし、車販業務だけをやっていればいいわけではありません。
SSスタッフですので、接客も洗車もレンタカーの貸し出しも行います。必要な会議には出席し、店の管理業務も担ってもらいます。
過去4年間の、車販担当者の実績別人数を(グラフ1) に示します。
月間平均11台以上を売るスタッフが、4年前は1人でしたが、今は9人に増えました。
なるほど、車販担当者の育成には時間がかかるものだ。そう考えていましたが、ここ2カ月間の実績を見て、びっくりしました。
販売実績ランキングの上位3人が、3人とも昨年秋から今年春に採用した新人だったのです(表4)。
車販はおろか、SS経験もない若者たち。常識が覆ります。
彼らの共通項は、➊明るく社交的、➋新しいことに前向き、➌負けず嫌い、➍素直といったところでしょうか。おそらくどんな仕事を与えても、優れた能力を発揮すると思われます。
そして、5番目の共通項があります。さらにびっくりします。
何と、ランキング上位の4人が、同じ店長のもとで訓練を受けていたのです。
もともと人材育成に熱心な店長だとは評価していましたが、ここまで明らかな違いが出るほど育て上げるとは。
人材育成は、ポテンシャルを持つ人と、それを引き出す指導者が噛み合ったとき、最短かつ最高のパフォーマンスを発揮するのだと、思い知らされました。