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2024.07.02

代表コラム

油外放浪記 第189回「油外販売が月2,000万円を超えてくるとガソリン販売を阻害する」

5月も営業利益のギネス

当社のSSは、5月も8店で2,200万円の黒字を計上してくれました(表1) 。

前年5月が1,100万円でしたので倍増。5月の最高利益額を、また更新しました。

前年同月と比べ、粗利は燃料油が500万円増、油外が2,200万円増加しましたが、経費は1,600万円しか増えませんでした。

油外は車検、車販、レンタカーともに伸びましたが、やはり車販の伸びが目を惹きます。
燃料油は146klも減販しましたが、ありがたいことに口銭が改善したので、足を引っ張らずに済みました。

昭和世代のノスタルジーを捨てる

4月も5月も、燃料油が前年比140kl減販しました。焦った本社の販促担当者は、「BOXティッシュプレゼント」といった昔懐かしいモノクレ販促を断続的に実施したのですが、案の定、効果はありません。
「オープン」でも「改装」でも「○周年」でもないのに、「モノクレ」販促で一時的な集客を試みたところで、固定化は望めません。

確かに燃料油は、お客様の高頻度来店を確保してくれる、SSだけが取り扱うことのできる商材です。油外販売も「客数が命」ですから、燃料油の売り負けだけは避けたい、と思うのは、昭和世代のガソリン親爺のノスタルジーでしょうか。

SSで油外を売れば売るほど、給油所としての機能を損なってしまう事実があります。
例えば、当社の中で比較的小規模な「センター南店」は、敷地面積が210坪。横浜の住宅地の生活道路の交差点立地で、同時4台給油のセルフSSです。
この店で月に170台の車検を実施し、月30台の自動車を販売し、レンタカーは85台を運用しています。
開店は朝7時ですが、土・日曜は9時頃までレンタカーで埋めつくされ、給油できません。9時を過ぎると車検車両で2基のリフトが休みなく稼働するため、その車両移動が常に給油動線を遮り、店内が渋滞します。

さらに、中古車を求めるお客様が来店する時は、駐車場から商品車を運んで店内に展示し、見て触っていただきます。洗車機はありますが、レンタカーや作業車両でフル稼働するため、お客様が利用することはありません。夕方から夜にかけ、洗車待ちレンタカーが店内を埋め尽くします。

こんな店で、給油しようというお客様もお客様ですが、ありがたいことに月150klを買っていただいています。

この店から2km離れた同一商圏内に、当社の仲町台店があります。
敷地面積は360坪。もともとガソリン量販を企図して設計され、最盛期には700klを売っていた店ですが、改装に改装を重ね、今は同時給油6台で350kl。油外は、車検250台、車販50台、レンタカー100台。店内状況はセンター南店と変わりません。

SSというフォーマットで、月2,500万円の油外販売と燃料油販売を両立させようというのが、どだい無理な要求なのです。
今回の燃料油減販に際し、販促担当者はヤケクソ気味にモノクレを実施したわけですが、責められるべきは、燃料油販売量にこだわり、目くじらを立ててきたこの私です。

車検の客単価向上に取り組む

5月の車検入庫台数は前年並みでしたが、粗利は200万円増加しました。
何度も申し上げてきたとおり、当社のSSは設備キャパシティの限界から、車検台数が頭打ちです。そこで、少しでも客単価を増やす努力をしています。

今年上半期は、1台当たり概ね1,500円増加し、4万円台をキープしています(グラフ1) 。

車検の客単価アップは、販促費がかかりません。車両をしっかり点検し、点検結果をお客様と共有することが重要です。そのうえで整備を提案するわけですが、整備提案数に対する受注率はあまり変わりません。
したがって、不具合箇所の整備だけでなく、車の経済性や快適性、安全性を高めるアイテムを、たくさん提案するとよいでしょう。

かつては1台当たり5万円の粗利をコンスタントに獲得する猛者の整備士もいましたが、経験上、もうこれ以上の伸び代はあまり期待できないかもしれません。

車販の取り組みは20年間で激変

車販は、業販が著しく伸びました。前年10台に対し、今年は93台です。
あらためて、当社のSSの車販ビジネスの経緯を振り返ります(グラフ2) 。

最初に取り組んだのは2004年。無在庫で、AA(オートオークション)落札を代行するサービスです。
10年間試行錯誤しましたが、月々の粗利は100万円くらいしか上がりませんでした。
いろいろと噂を聞いたり外部のアドバイスを受け、軽自動車の展示販売なども試してみましたが、パッとしません。そんな中、個人向けリースで成功しているクルマ屋さんがあると耳にし、話を伺いに行きました。

当時、SS業界では、個人向け新車リースはコスモ石油さんが先行していました。当社は系列が異なります。そこで、自動車販売店向けのFC(フランチャイズ・チェーン)を紹介してもらい、門戸を叩きました。しかし、加入を拒否されてしまいました。

仕方がありません。2016年、「定額ニコノリパック」なるものを自社開発し、直営SSで売ってみました。
やってみると、ほとんど誰も「車のサブスク」という利用形態を知りません。来店客にきちんと説明すると、驚き、感動してくださるお客様が現れます。

1店当たり車販粗利は、400万円に跳ね上がりました。
ところが考えることは皆同じ、1~2年後には多くの競合プランドが生まれました。自動車メーカーまで参入し、あっという間にレッドオーシャン市場となってしまったのです。
そして2020年、新型コロナが全国を襲います。新車の生産が停止し、リース契約をしても納車できない、という事態が全国的に発生しました。

一方、当社は北海道、関東、九州の空港前に6箇所のレンタカー店を展開していました。これが軒並み閑古鳥。余剰レンタカーを緊急大処分する必要に迫られました。試しに、グーネットに掲載してみたところ、即完売したのです。
これを機に、当社のSSは、中古車の在庫販売スタイルに転換します。売れ筋車両をAAから大量に仕入れ、架装し、ネットに掲載し、SSに配送するための部門を作りました。その結果、1店当たり月間900万円を稼ぐ大商材に育ちました。

中古車は現車があると、セールス力をあまり必要としません。
属人的要素に頼らず「仕組みを作って売る」という当社の体質にマッチしたのです。

そして2024年からは、業販チャネルの拡大に注力しています。大量の優良車在庫を持つと、クルマ屋さんが当社から仕入れてくれます。前回お伝えしましたが、エーエスネット(オートサーバ社)から5つ星認定を受けました。業販取引の拡大への期待が膨らんでいます。

新事業年度は車販に賭ける

さて、当社は7月から新事業年度。早いもので、第39期に入ります。
年度計画が固まりましたので、ご紹介します(表2) 。

(1)営業利益目標は4億4,000万円
1店当たり5,500万円を目指します。

当社は2020年まで、年間営業利益が5,000万円を超えた店に「ニコニコステーション」という称号を与え、その多店舗展開を目指していました。

それが政府のカーボンニュートラル宜言によって頓挫しました。新たに2店を出店していますが、来期は改めて5,000万円を目指します。

(2)燃料油販売量は1200kl増
今どき、かなり攻めた数字となりましたが、各店長の申告をそのまま反映しました。ただし口銭は一律5円としましたので、粗利目標は「当たらずとも遠からず」となるかもしれません。

燃料市況だけは、私たちの努力が及びません。運を天に任せます。

(3)油外販売目標は26億円
ポイントは車販です。車検とレンタカーは、前年並みプラスアルファとしました。

第35期に立案した中期計画では、「第40期の車販目標6000台」としました。第39期は、その前哨戦となります。
年間5,000台を販売し、粗利9億8千万円が目標。前年比120%を超える伸び率となります。

以上が来期計画の骨子です。
期初に全社員と共有し、武者震いしながら臨みます。

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