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2024.09.24

代表コラム

油外放浪記 第191回「SS現場の酷暑対策、お金はかかるが必須」

7月も「稼ぎ時」になってきた

夏から秋にかけて今年も厳しい暑さが続きますが、山陰や東北では大雨災害が報じられました。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

当社のSSは、幸にもつつがなく7月を終えました(表1)。

2016年にレンタカーの高収益化手法「Nメソッド」を発見し、開発して以降、7月は例年、大きな営業利益を獲得するようになりました。
タイヤメーカーからの期末報奨金も7月に入金します(今年は約800万円)。

営業利益は3,900万円(8店合計)。昨年を1,700万円近く上回りました。油外収益が7月に2億を超えたのも初めてです。

給油設備への投資が報われていない

燃料油販売量が、前年比105kl減少しました。
当社の第1号店である仲町台店と、2号店のセンター南店の、25年間の変化を(グラフ1) に示します。
両店ともガソリンが減販するほどに、営業利益が増加しているように見えます。

仲町台店がオープンしたのは1995年。特石法が廃止される直前です。月間680klを販売する「行列のできる量販店」でした。
ラッシュ時はポンパーが2台、3台の車両を引き受け、同時並行で接客。しかも洗車や車検の声かけ、チラシのハンドアウトを徹底したものです。

・・・にもかかわらず営業利益は慢性的に赤字。その後、2015年のセルフ化を経て、2018年にレンタカー営業を開始。車検の商圏内販促およびWeb販促の強化、レンタカーや車販の革新などにより、営業利益は月1,000万円となりました。
しかし、ガソリン販売量は320klと半減です。

センター南店は1999年に運営継承した小規模SSです。同時給油4台で300klを販売、優良会員制度(VIP制度) を駆使し、L当たり40円の油外収益を上げる繁盛店でした。
2006年のセルフ化によって赤字に転落。10年間喘いでいましたが、レンタカーの開始で息を吹き返したのは、仲町台店と同じ。ガソリン販売量は150klと半減しましたが、営業利益は月400万円以上を稼ぐ高収益SSとなりました。
最近、同一商圏内に2箇所の新設競合店が現れ、激しく販促攻勢していることも、ガソリン減販の理由です。

しかし、前回述べたように、油外が給油来店を忌避している面も確かにあります。SSスタッフとしても、限られた敷地面積を、できるだけ生産性の高い商材に活用したいと考えるのは当然でしょう。
とは言うものの、ガソリン販売量が、ただただ減少していくのを静かに見ている私の心中は複雑です。
給油しない給油設備がフィールド上に鎮座する一方で、ガソリン販売量が収益に直結しない現実があります。
給油設備とは一体何なのだ?という疑問への回答が見つかりません。

車検の流れのボトルネックを解消

当社内で横断的に結成した「車検再興プロジェクト」が、6月に解散しました。翌7月の車検実績は、前年比143台プラスし、650万円も増加しました。

特別なキャンペーンや販売促進を展開したわけでもないのに、これだけ伸びたのは、旧プロジェクト担当者には面白くないかもしれません。でも、経営者としては喜ばしいことです。
さすがに気になって、SS部長に聞いてみたところ、実に他愛ない改善でした。「車検の作業枠を、SSが勝手に変更できないようにした」とのこと。

当社では車検を受注するとき、事前点検の日時と車検日を決めます。SSごとに、あらかじめ「1日何台まで」と作業枠数を決めており、受注担当者は、その枠に予約を入れます。それなのに、SSは様々な理由をつけて「枠」を閉じていました。
特にコールセンターにその皺寄せが来ます。SSの顔色を見ることなく、機械的に枠を埋めますので、枠が減れば、受注できる車検が減ります。

「受注する」→「枠を埋める」→「作業シフトを組む」→「作業する」という、あたかもベルトコンベアのような流れ作業において、その流れを現場の都合で調整できないようにしたわけです。

年間車販台数6千台その背中が見えてきた

7月も油外を牽引したのは車販でした。小売り273台、業販69台で7,500万円の粗利。前年より1,000万円以上増加しました。

4年前の2020年、店長会議で私は吠えました。
「今の車販実績は月平均63台だけど、5年かけて500台にしようじゃないか。月500台売れば、粗利8,500万円。つまり、年間6,000台、10億円の新たな収益が生まれるぞ。国内の中古車販売台数は500万台もあるので、そのうち0.1%をMICが売っても、誰も困らない。よし、やるぞ!」

店長たちが互いに困った顔を見合わせていたことを、ありありと覚えています。「また社長の大ボラ吹きが始まった」と思われたでしょう。
それが、いよいよ実現するかもしれません。前期(3年目)の車販台数は3,644台でした。今期の期首である7月は、前年比125%伸びました。この調子が続けば、今期(4年目)の車販台数は4,500台となります。

来期(5年目)の目標6,000台まで、あと1,500台。どこかで大掛かりなキャンペーンでも実施すれば、達成できなくもなさそうです。

リフト室にエアコンは設置できないと思っていた

それにしても暑い。梅雨が明けてから一段と暑い。
当社は何年か前から、7~9月の期間中、SSとレンタカー店にスポーツドリンクを無制限に提供しています。
最初は数十万円の出費でしたので、高をくくつていましたが、今年は300万円を超えそうです。店が増え、人も増え、300人が炎天下で働いている状況で、やむを得ない出費です。

ずっと以前、SSの運営継承にあたり、元売り会社に「リフ卜室にエアコンを設置したい」と相談したことがありました。
言下に撥ねつけられました。
「多大な費用がかかるのですよ、素人が生半可なことを言わないでください」と。
理由も聞きましたが、覚えていません。以来、 私は「リフト室にエアコンは無理」だと思い込み、あきらめていました。

ところがその後、BMWの販売会社の整備工場を見学させていただく機会があって、びっくりしました。リフト10基ほどの明るく広い工場に、エアコンが完備されているではありませんか。

さっそく馴染みの工務店に聞いてみました。
「ガソリンスタンドのリフト室に、エアコンって設置できますか?」
「簡単ですよ。強力なエアコンを設置して、出入り口をビニールカーテンで仕切れば、涼しくなります」
「えっ、そうなの?費用はどれくらい?」
「面積にもよるけれど、300~800万円くらいかな」

な~んだ、天文学的な費用がかかるわけではなかったのです。
当社の8箇所のSSのリフト室に設置した場合、ざっと4,000万円の費用です。5年償却として月60万円くらい。

きわめて現実的な数字です。当社には整備士が50人いますから、一人当たり月1万円程度の出費となります。すぐに発注し、設置工事をしました。
整備士たちはとても喜んでいます。これも車検増加の一因となったでしょうか。

高くても性能のいい空調服を

暑いのは、整備士だけではありません。SSスタッフは、基本的に屋外で働きます。また、レンタカーを、SS8店で550台、専業6店で1,100台保有していますが、どの店も炎天下の駐車場で保管しています。

レンタカーを取りに行けば、 灼熱地獄。熱くてハンドルにも触れられません。何とかしたいと、空調服の導入を検討しました。社内外から意見を聞き、情報を集めたところ、よくある5,000円くらいのものは気休めにしかならないそうです。
高性能なのは「バートル空調服」といって、一着2万円くらい(写真1)。

さっそく手配して試着してみました。なるほど、はっきりと体感できます。冷房の効いた部屋だと寒いくらいです。

300着で600万円の出費となりました。これも本社経費で発注し、1週間で各店に行き渡りました。
スタッフの日報などを見ると、きわめて高い評価です。金額にやや怯みましたが、即決してよかったと思います。

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