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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第102回 個人向けカーリース市場が急速に顕在化している

車を売れば車検が売れる

この原稿をまとめているのは3月初旬。車検シーズン真っ只中です。

当社が運営する5SSの1~3月の車検台数の見通しは約2,700台となりました。

今年 車検の「当たり年」と言われており、前年比700台増えたのは、その恩恵にあずかったということでしょう(グラフ1)



車検の客単価は車1台当たり 40,000円の粗利を維持したかったのですが、現状は35,000円です。
つまり、3カ月間の車検粗利は9,500万円。残念ながら目標としていた1億円には届きません。

車検台数の伸び率が著しいのは平塚SSです(表1)。2月は前年を65台も上回りました。2年前から中古の軽自動車の展示販売を始めたのが大きく影響したと思われます。あたかも鮭が生まれた川に回帰するように、ごく自然に販売店へ戻ってきてくれます。

個人向けカーリースが好調

ただ、平塚SSのように中古車を50台以上、展示できるようなSSは他にありません。たとえあったとしても、仕入れだけで数千万円の現金が必要ですから、おいそれとは展開できません。

そこで在庫を抱えなくても売れる「新車」を、競合の少ない「リース」という方法で取り扱うことを試しました。いわゆる個人向けの「オートリース」とか「カーリース」と言われるものです。

2年前の夏から当社SSで順次取り扱い始め、試行錯誤を繰り返し、昨年夏ごろから、ようやく「形」になってきました(グラフ2)

    


今年1月に全店を挙げてキャンペーンを実施し、48台が成約できたのは、スタッフたちの大きな自信となりました。カーリースを1台契約すると25~35万円の粗利が得られます。昨年は1年間で約300台成約したので、約1億円の収益増です。加えて、在庫負担もない、初期投資もほとんどない、クレームもありません。

「いいことづくし」ですから、他のSS事業者からも「やり方を教えてほしい」との声が殺到しています。当社のインストラクターの数は限られますから、月に1~2社だけですが個別指導を始めることにしました。

表2は今年1月、2月に指導を開始したSSの実績です。まずまずのスタートです。





1年前は未開のジャングルだった

さて、この「カーリース」ビジネスの環境を述べます。
もともと法人向けに普及したやり方です。キャッシュフロー負担の軽減、節税、そして大量の車両管理業務をアウトソーシングするために、カーリースが好まれました。

個人向けのカーリースビジネスの先駆けはオリックスだと思います。インターネットを通じて市場を開拓してきました。
実店舗展開では、沖縄の西自動車商会が早くから各地の車屋さんとチェーン展開を進めていました。

そして2012年末、コスモ石油が系列支援の一環でカーリースビジネスに参入しました。
約1,000店が取り扱っているそうです。テレビCMなどの効果もあるのでしょう、契約件数は3年間で累計1万台を突破したと聞きます。
次の4年間(今年末までに)で累計10万台を目指しているそうです。市場開拓のスピードに驚かされます。

こういった事情を背景に、当社SSでもやってみようかと思ったのが2015年です。が、まだまだイバラの道でした。

個人向けカーリースにきちんと対応してくれるリース会社があまりに少ないし、リースの組み方は教えてくれても、車の仕入れ方法や売り方については誰も教えてくれません。そして、肝心の市場が、まだまだ未開拓であると知りました。

2016年1月、市場調査会社に委託し調べたところ、「マイカーリース」「オートリース」という方法をご存知の方は40%しかいませんでした。
では「知っているブランド名は?」と聞くと、何も知らない人が98%。正しく答えたのは、全体の1.7%。オリックスの「いまのりくん」が1人、「コスモスマートビークル」が1人だけ。つまり、一般生活者にはまだまだ馴染みのない商品だったのです。

市場が急速に活性化

ところがここにきて、市場の様相は変わってきたようです。
昨年あたりから自動車流通コンサルタント、カーショップ、鈑金チェーンなどが参入し、新しいブランドが次々と登場しました。刺激的なキャッチプライスを訴求するため対象車種を限定したり、リース期間を長く、人気女優を使ってマスメディア広告するなど百花繚乱です。

そのためか検索キーワード「カーリース」のネット検索件数は急速に増え、今年に入ってから、さらに跳ね上がりました(グラフ3)
どうやら個人向けカーリースビジネスが本格的に花開くときが来たようです。

 

とりわけ、私が注目しているのは「Xチェーン」(仮称)です。車屋チェーンの本部と車販マーケティングのコンサルタント会社がコラボして2015年末に立ち上げ、1年間で200店以上の車屋さんが加入しました。その急成長ぶりもさることながら、販売実績が凄まじいのです。

表3は、ある筋から入手した昨年の「Xチェーン」の実績です。チェーン全体で1店舗当たり月間14台の成約。ということは、仮に現在の店舗数が220店だとすると月間3,000台、3ヶ月で1万台。

 

コスモ石油の系列が3年かかった領域に、たった3カ月間ほどで到達したことになります。
カーリース市場がいかに劇的に拡大しているか、ユーザーが目を覚ましている様子をひしひしと感じませんか。

ケタ違いの契約台数に唖然

「Xチェーン」の衝撃は、これだけではありません。
トップグループの店の実績を見てください(表4)。最初から何十台もの実績を叩き出しているではありませんか。

 

つい当社の実績と比べてしまいます。商品力が負けているとは思いません。店の立地条件に特別な違いもありません。販売力は劣るかしれませんが、でも当社のスタッフだってお客様と商談すれば5割を成約しています。

当社は商圏内にチラシ折り込みをし続け、やっと1店舗当たり10人くらいが来店するようになりました。それだけでは足りませんからSS店内でレンタカー、車検、タイヤなどの販売チャンスを捉えては声かけし、興味を湧かせては商談してきた結果、ようやく10~20台の成約実績を確保するに至っています。
「ガソリン」という集客武器を持たない彼らが、どうやって毎月50台も売るのか?理由が分からずただただ口惜しい思いをしました。

ハタと思いつきました。
もしかしたら見た目の違いなのではないかと。当社はガソリンのサインポールを掲げるスタンド。片や「Xチェーン」は中古車を並べ、見るからに車屋さんです。

ガソリンスタンドで新車を買うことに抵抗を感じているお客様が意外に多いのではないか。だとすれば、このサインポールが集客を阻害しているのではないか、虫を寄せ付けない「ナフタリン」になっているのではないか?

いったんこうい発想が起きてしまうと、もうダメ。私も偏執狂です。

ちょうど当社平塚SSの対面に、数年前に廃業したSS物件があり、これを居抜きで借りられることになりました。よし、ここをカーリース専門店にしてみたらどうなるか。中古車展示場も併設しているので、見た目は車屋さん。何としても検証してみたいと居ても立ってもいられなくなったのが昨年の夏のことです。

「車屋」業態でやってみた

「新車が当たる」プレゼントを目玉に、当社の総力を挙げ、700万円を投入したイベントを実施し集客を図りました。


スタッフは平塚店だけでなく、本社からも、外注スタッフも、これでもかとばかり投入しました(写真1)

その結果やいかに。
10日間で来店したのは50人。景品目当てのお客様ばかりでした。カーリースの商談もままならず、成約はゼロ。

何と私はアホだったのでしょう。お客様は決してSSを忌避していたわけではありませんでした。SSに濡れ衣を着せ、サインポールをナフタリンと思った我が身が恥ずかしい。SSをコケにしてごめんなさい。お客様を「虫」呼ばわりしてごめんなさい。

車販も積み重ねが大事

その後、カーリース事情に詳しい人が教えてくれました。
彼らは車を売ってきた大量のお客様を抱えています。これを管理客と言います。そのうち買い替えを考えているお客様が毎月100人いるとして、半数を「ローン契約」から「リース契約」へ切り替えるだけ。これで50台の成約です。

新規の車販客を累積しアフターフォローすることがいかに大事かが分かりました。
急がば回れ。SSの優位性を生かして毎月20台の車が売れるなら、これをコツコツと積み上げるのが、結局は早道だと悟りました。


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