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増田信夫の油外放浪記  営業利益の追求が一番大事

連続ギネス、ついに途切れる

前号で、当社SSの営業利益が14カ月連続「ギネス記録」を更新し続けていると自慢しました。その舌の根も乾かないうちに迎えた10月、とうとう前年割れをしてしまいました(表1)

    

粗利益が470万円増えたのはいいのですが、経費が520万円かさんでしまったため、営業利益は前年比50万円のマイナスです。あぁ、残念!
車検台数の減少傾向が顕著です。数カ月前から気にはなっていましたが、10月は前年より80台も減少してしまいました。

良い兆候もあります。
このところ我が商圏は、燃料市況が落ち着きを見せています。燃料油収益が230万円(1店当たり47万円)増加しました。セルフ給油のガソリンは生産性向上に寄与する商品のひとつです。今のマージンのまま、今後も推移するようであれば、ガソリンにもしっかりとコストをかけ、増販に取り組む選択肢もあるのですが、さてどうでしょうか。

車販は全店で過去最高の81台(1店当たり16台)となりました。「1店当たり月間20台」が積年の夢ですから、あと一歩かもしれません。

グラフ1は過去5年間の、車販台数と車販粗利の推移です。

当社は2015年の夏から翌年にかけ、順次「個人向けオートリース」をSSに投入しましたが、これによって年間約1億円が上乗せされました。


そして、「個人向けオートリース」の投入を契機にSSは赤字を脱却し、年間営業利益は1.8億円にまでに改善しました。



正しいコストコントロールとは?

私がSS経営に携わった頃、元売会社などからは、とかく「重要なのは販売数量と粗利益」と 叩き込まれました。

油外販売においても、L当たり粗利益(すなわち燃料マージンを油外でどれだけ補完したか) がいつも話題となりました。今もSS業界にはこの燃料油本位の思想が根強く残っているでしょう。

しかし考えてみれば、SSも事業である以上、営業利益が最も重要です。
営業利益は粗利益と経費の差額ですから、粗利益の追求と同時に、コストのコントロールが不可欠です。

かつては私も粗利益の追求だけに走りました。L当たり50~60円の油外収益を稼ぐSSも創りました。しかし、コストコントロールをおざなりにしたため、赤字からなかなか脱却できません。

その一方、コストコントロール偏重の経営をする人もいました。しかし、闇雲なコスト削減は縮小均衡を招き、いずれ破綻するのは、多くのSS廃業事例が実証しています。

ある日、考えを改めました。
「利益貢献度の高い分野にコストをかける」ことがコストコントロールだと。コントロールすべき最大の経費は人件費です。人件費を削るのではなく、生産性の高い商品に人件費を充てたい。その思いを強くして、本連載のタイトルどおり「油外放浪」の旅をしている次第です。


当社SSに見る環境激変の軌跡

表2は、当社の旗艦店である仲町台SSの、ここ10年間の軌跡です。
10年前の2006年、燃料マージンはまだ10円近くありました。SSがまだ牧歌的だった時代です。   


当時、現金会員の固定化策が元売会社にありませんでした。そこで当社では「スーパービーズ」というオリジナルポイントを運用していました。その甲斐あって燃料油販売量は月販700kl近くあり、文字どおり「行列のできる繁盛店」でした。

フルサービス給油ですから、 洗車の「声かけ」は80%以上、400万円もの洗車粗利を獲得しました。車検は当時すでに主力商品でしたが、ロイヤルカスタマーに対する油外販売も一生懸命に取り組みました。

車番認識システムによる顧客管理を開発し、実験投入したのもこの年です。次に、5年後の2011年、経営環境が激変したことが分かります。SSの淘汰が進み、当時は同じ商圏内にあった地場特約店系のSSがほぼ一掃され、元売系列の直営店ばかりになってしまいました。

仲町台SSの燃料油販売量も月販400klに落ち込み、マージンは3円台へと激減。来店客数の減少は油外販売をも直撃しました。唯一「レンタカー」が気を吐きました。
これは来店客数に左右されない商品だからです。もしレンタカーがなければ、仲町台SSも「撤退」を覚悟したかもしれません。

そして2016年、車検、車販、レンタカーが当店の主力商品(中軸3品)となりました。生産性の高い商品に「選択と集中」した結果です。総粗利の70%をこの3品で占めます。燃料油の貢献度はわずか9%。人件費効率は200%を超え、油外収益だけで総経費をまかなう、燃料指数マイナスの体質となりました。

生産性抜群の個人向けオートリース

主力商品の中でも「車販」が伸長著しいのが目立ちます。新たに投入した「個人向けオートリース」の生産性がひときわ高いからです。

なぜ生産性が高いのか、その理由を改めて整理してみます。

①ニーズが大きく競争がない

マーケット調査によると「個人向けオートリース」をご存知の方はほとんどいません。しかし、きちんと説明すると実に28%が強い興味を示します。にもかかわらず「きちんと説明」している既存の自動車販売業者は、ほとんど存在しません。
しかもリース期間を5年とすると、そのニーズは5年ごとにリセットされます。尽きることがありません。

②車1台当たりのマージンは30~40万円

自動車販売も値引き競争が熾烈な業界です。しかし、オートリースはこれとは無縁。先の28%のユーザーにとっては、「安さ」でなく「月々定額払い」であることが何よりのメリットなのです。マージンの多さはスタッフのモチベーションにも比例します。いたずらな値引きはスタッフを卑屈にさせ、店を疲弊させるだけだと思います

③手間がかからない

たとえば、中古車販売の場合だと販売活動だけでなく、仕入れ、在庫管理、成約後の車両登録や加修、アフターサービスやクレーム処理など多くの手間を要します。ところが新車リースの場合は、その多くをカーディーラーがやってくれます。
商談、事務手続き、納車だけですから、所要時間は5時間以内。これで30万円以上の収益を獲得。1人が月間10台成約すれば、投入時間は50時間、稼ぎ出す粗利益は300万円以上。人手不足に悩むSSにとって、これに勝る商材は見当たりません。

当社SSを凌駕する一般SSの滑り出し

グラフ2は、当社SSが個人向けオートリースを導入してから今日までの、平均契約件数の推移です。店によって導入時期が異なるので、スタート時期を合わせました。

より分かりやすくするため、ステージを4つに分け、ステージごとの平均値も表記しています。 第1ステージは導入期の3カ月間、続く第2ステージは導入してから1年目まで、第3ステージは2年目、第4ステージは3年目です。今は5店のうち3店が第4ステージに突入しています。

グラフ2を見ると、個人向けオートリースは決して一過性のキャンペーン商品ではなく、時間経過とともに安定的に成長する商品であることがお分かりいただけると思います。

ところで、当社が直営店に順次導入を始めた当初から、「ぜひ教えて欲しい」というお声を多数のSS事業者様から頂戴しました。しかし、当社も試行錯誤の繰り返しでノウハウの確立途上にあり、他社様にお教えするほどのインストラクターも不足していたため、丁重にお断りし続けていました。

恐る恐るお受けし始めたのは 第3ステージ半ば、つまり昨年末頃からです。
今年10月時点では、9店が当社仕様の個人向けオートリース「定額ニコノリパック」を取り扱っておられます(表3)

まだ始めて数カ月の店ばかりですが、平均値を見ると、月間3.8台を成約し、120万円の粗利益を稼いでおられます。
スタート月を合わせ、その平均実績を直営店のステージ別推移と重ね合わせて比較したのが グラフ3です。同じように推移していますが、一般店の方がやや上回りました。出藍の誉れで嬉しく思います。

私は自らの店で試したことを、成功例も失敗談も包み隠さず話しているつもりです。にもかかわらず「MICさんは特別だから・・・」と真に受けていただけない方が多くいらっしゃるのはとても残念です。

でも、ときどき虚心坦懐に聞いていただける方もいらっしゃって、上記9店(A~I)は当社の言う通りに行動されました。

これ以外にも15店ほどが現在準備中です。来年はもっと多くのSSが後に続くでしょう。彼らこそがSS業界の呪縛を解き放ち、「収益革命」をもたらしてくれるに違いありません。


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