情報サービス・出版物

  1. トップページ
  2. 情報サービス・出版物
  3. 増田信夫の油外放浪記一覧
  4. 油外放浪記記事

油外停滞の一因はガソリン減販にあり

月間営業利益のギネス連続更新中

今年の月5月は、元号が変わったことに加え、前代未聞の10連休がありました。幸い当社のSSはトラブルもなく、無事に過ごすことができました。

例によって、営業実績を(表1)に示します。
営業利益は1,066万円(1店当たり平均210万円)でした。

     

昨年同月より230万円増加しましたが、月間営業利益のギネス記録は、昨年10月以来、8カ月連続更新中です。
5月実績の内訳を見ると、燃料油の販売量は増えましたが粗利益は300万円減少しました。さらに経費が200万円ふくらみました。しかし、油外粗利が740万円以上増加しました。なかでも、車検とレンタカーは5月の最高値です。車販もかつての勢いを取り戻しつつあるようです。

油外増大には、まずガソリン増販

このところ、燃料油の販売量が徐々に増えています。

ほぼ20年前、2000年頃、当社の店は1店当たり月間500klを販売していました。それがこの15年の間で、見事に半減しました(グラフ1)。

燃料油口銭の低下から、ガソリンに販促費をかけるのをやめ、油外にシフトしたからです。どこかで減販は止まるだろうと夕カをくくっていたのですが、放っておけば、どこまでも落ち込みます。そしてついに、油外販売も頭打ちとなりました。

商品力や販売力が陳腐化したこともありますが、給油来店客数が減少したのが大きいでしょう。
来店していただきさえすれば、油外販売はそれこそ「数打ちゃ当たる」のですが、自宅にいらっしゃるお客様に、わざわざお店に来ていただくのは、とんでもなく大きなエネルギーを要します。

ガソリンがあるから、SSはお客様が反復来店していただける---その優位性を何ら強化せず、放ったらかしていたことに気づき、危機感を抱いたのが2014年のことです。

油外を売るにはガソリン販売が王道であると痛感しました。
そこで、ガソリン増販に努めることにしました。併せて、車検、車販、レンタカーの順にテコ入れをした結果、ガソリンの減販は止まり、油外が伸び、2016年からは年間営業利益が黒字となりました。


リスト取りは不滅です

そもそもガソリン販売量は4つの要因で決まります。
 ➊立地条件
 ➋設備力(敷地面積、店舗設備など)
 ➌運営力(価格、営業時間、接客など)
 ➍販売促進

➊と➋は、資金力に勝る元売会社や大企業には到底敵いません。特に当社のSSは運営継承した店がほとんどなので、与えられた条件に従うしかありません。

➌は、セルフ給油が一般化した現在、接客での差別化は困難です。夜間営業の外部委託も一般化してきました。元来、価格競争も企業努力の範疇だと思うのですが、「お上」(公取委)に訴える同業者もいて、自由にさせてもらえない業界の空気があります。

かくなる上は、➍販売促進しかありません。
元売会社のお仕着せのクレジットカードやポイントセービングは、元売会社には良いのでしょうが、地域販売店に過ぎない当社には、あまり効果がありません。

そこで当社独自のリスト取り、会員化、会員優遇による固定化という古式ゆかしい方法を採っています。

フルサービス時代は、給油時に会員証を提示していただくことができました。今は、車番認識システムが同等以上に機能してくれます。
ともあれ「リスト取り」、すなわち新規来店客にお願いをして個人情報を用紙に記入していただくことが、ガソリン増販の出発点です。

フルサービス時代は各アイランドに人員が配備され、すべての来店客を接客したので、新規客の8割がリストに記入してくれたものです。 セルフ時代はどうでしょうか。グラフ2を見てください。

       

2016年は月間876件の新規客が来店しました。そのうちリストを獲得できたのはわずか147件。捕捉率は17%でした。それでもガソリン販売量は、前年比103%の伸びを示しました。

3年後の今年は1,159件の新規来店に対し、477件のリストを獲得しています。捕捉率は37%に改善され、ガソリンは対前年比106%の伸びです。
これまで年率85~95%と減販していましたから、実質110~120%の伸びに相当します。

「リスト取り」は単純な仕事です。しかし、SSの日常行動として定着するのに3年くらいかかるということでしょう。

万年最下位SSがドル箱へ

当社の所沢店は、2005年に運営継承しました。
関越自動車道の所沢インターから市街地に向かう生活幹線道路の途中にあります。そもそもセルフSSの先駆けとしてオープンした店で、前運営者は最盛期700kl/月を販売していたそうです。

しかし運営継承して以後、北側の地域が開発され、住宅地ができ、バイパスが開通しました。そこに元売直営の大型店が次々と出店しました。

対する当店の前面道路は原野のまま。
工場や産廃処理場などがぽつぽつあるだけで、すっかり取り残されてしまいました。
それだけではありません。市況は激しく乱れ、マイナス口銭となりました。
当店の販売量は何と月販150klにまで減少。老朽化した店に来店客数も少なくなり、油外収益も月間500万円が精一杯の状態に・・・。

当社の直営店ランキングで最下位が定位置のSSでした。赤字は累積し、回復の目処も立ちません。ついに元売会社と相談し、「撤退止むなし」と決定しました。
それを聞きつけた店長は一大奮起し、これを跳ね返してしまったのです。

それまで斜に構えて懐疑的だった本社企画の車検、車販、レンタカーの販売方式を100%採用しました。決めたことは、徹底する指導力が持ち前の店長です。みるみる業績は改善しました。

その結果、油外収益は月間平均1,000万円近くに押し上げられたのです。
燃料油粗利がマイナスにも関わらず、年間2,000万円近い営業利益を生み出すまでになりました。

その所沢店の店長が、またもや離れ業を見せてくれました。

猫に噛み付いたネズミ

きっかけは2018年に競合SSの改装が相次いだことです。
当店は、立地、設備力、運営力で、ますます劣位になったわけですが、店長はリスト取りの徹底を決意しました。
5月から行動に移したところ、7月には減販が止まりました。そして8月、9月は前年比107%に増販させたのです(グラフ3)。

    

ところがです。出鼻をくじく事態が発生しました。
同一路線インターの手前にSSがあったのですが、大手量販会社がこれを買収し、周囲を造成し、昨年11月、2,000坪を超える超大型競合店として生まれ変わったのです。
当店の販売量は、あっという間に逆戻り。

しかし店長はくじけません。
リスト取りをさらに徹底し、新規客に対する捕捉率は何と75%。少ない人員でフルサービス並みの行動量です。

その結果、今年4月の燃料油販売量は190kl(対前年比128%)、5月も前年比127%と快調に増販しています。
まさに「窮鼠猫を噛む」---。巨大資本に対峙して一歩も引かず勇戦する様は、私にも、他の店にも大いに勇気を与えてくれています。

LINE販促、始めました

リスト取りの目的は、会員の囲い込み、稼働促進、そして油外の販売促進です。来店時のサービスだけでは足りません。日頃のコミュニケーションが不可欠です。
昔はダイレクトメール(DM)と電話しかありませんでした。今は電子コミュニケーションが一般的になりました。

なかでもLINEは国内利用者が8,000万人を超えると聞きます。目覚ましい普及です。メッセージの送信費用もかからないというので、当社でも試してみました。

まずはお客様に「友達登録」してもらわなければなりません。
そこで「改元フェア」と銘打ち、4月下旬から5月初旬のゴールデンウィークにかけて「LINEの友達登録をしていただくとガソリン割引します」と訴えました。
対象は固定客、すなわち当店を反復利用いただいているお得意様です。

SNS(ショートメールサービス)や店頭POPで告知すると、自主的に登録していただけるお客様もいました。車番認識システムを活用してスタッフが店頭ですすめたケースもあります。

その結果を表2に示します。

  
18日間、5店合計で約4,000件の登録がありました。そのやり方は店任せにしたため、かなりのバラツキが生じました。とは言え「リスト取り」より、はるかに容易な活動だと思われます。
今後はその手順の標準化、送信するコンテンツの開発、有効性の検証が課題となります。

堀之内店の5月実績

最後に堀之内店の実績報告です。赤字ながら計画を少し超えました(表3)。

     
油外は、相変わらずレンタカーが一人孝行息子です。ただ、車検も車販も徐々に計画に近づいてはきています。指定工場の資格が取得できれば、休日車検がアドオンされるのですが・・・。

燃料油販売量はほぼ計画に達しています。「どうせ安売りだろう?」と言われるかもしれませんが、そんなことはありません。堀之内店は、地道に新規客の会員化と車検予約を獲得し続けています。この会員の稼働率が高いのです。

一般会員の稼働率が40~45%、車検まで予約してくれた会員だと55~65%です。一般的に会員の平均稼働率は30%程度ですから、堀之内店はやや高い傾向にあります。

 

油外放浪記一覧へ戻る