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イノベーションなくして油外拡大なし

6月も月間ギネスを更新

6月は、車検もレンタカーも需要があまり振るわず、例年、当社のSSは利益を稼ぎにくい月ですが、今年は好調でした。
1,300万円の営業利益を出し(5店合計)、前年を420万円上回りました(表1)。

     

燃料油口銭が前年並みに回復したことに加え、車検とレンタカーは6月のギネス記録です。
営業利益の月間ギネス記録は、9カ月連続更新となりました。
翻って、昨秋オープンした堀之内SSは、ひどい有り様です(表2)。

     

営業利益は計画値のマイナス200万円をはるかに下回り、640万円の赤字です。
マイナスの大部分を占めるのは車検です。30台しか入庫できませんでした。
これには理由があります。

堀之内店から陸運局の検査場まで、往復1時間以上かかります。渋滞などで、2時間以上を費やすこともザラでした。通検作業は外注スタッフに委託しますが、どうしてもそのキャパシティが、車検の入庫台数を制限していました。

そこで、横浜で取得した指定工場資格を移管させてもらうことにし、堀之内店の車検工場をほぼ1カ月間停止しました。おかげ様で、晴れて堀之内店は指定工場となり、車検キャパシティも拡大しました。「土・日車検」も可能になりました。
6月に空けた「穴」は、ほどなく埋めてくれるでしょう。

SSレンタカーはニーズに適合させるほど儲かる

レンタカーが絶好調です。
1年のうち2月、6月、10月は、レンタカーの需要が最も落ち込む時期です。
…にもかかわらず、当社SSは、6月に既存5店で前年比1.5倍、堀之内店も計画値の3倍を売り上げました。

最もレンタカー需要が活性化するのは8月です。つい2、3年前まで、当社SSの8月のレンタカー売り上げは、5店合計で1,500万円ほどでした。今年は、6月にこの水準に達したことになります。

この勢いを保ち、今年8月のレンタカー粗利を皮算用してみます。5店で売り上げ3,700万円と驚異的な実績が期待できます(表3)。

この好調を支えるのは、「Nメソッド」と呼ぶ手法です。
ここ1、2年をかけて「高品質」で「顧客が求める車」をラインナップしてきました。6月の1台当たりの売り上げをみると、昨年は47,000円でしたが、今年は57,000円と1万円アップしました。

高品質車輌の構成比を増やしてきたので、車両の減価償却費は増えました。しかし、メンテナンス費が激減したので、車1台当たりの経費は34,000円から35,000円へ千円しか増えず、利益率は28%から39%へ大幅に伸びました。

こうしてレンタカー1台1台の利益率を上げつつ、車両台数を増やし、6月の利益は290万円から610万円へ2倍になりました。

SS運営に携わってから25年。私は、「人」にまつわる苦労に絶えず四苦八苦してきました。その一方で、条件さえ整えれば、お客様が勝手に買いに来てくれる、そんな油外商品をずーっと探し求めてきました。

これを「ほっとけ油外」と呼んでいますが、レンタカーはその条件を満たす筆頭格の商品だと思います。

営業利益5千万円への途上、七合目

さて、当社は6月が決算です。おかげ様で、33期が無事終了しました。この1年を総括します(表4)。

SS部門の年間利益は1.8億円(5店合計)、1店当たり平均3,670万円でした。
ちょうど5年前、私は「年間5千万円の営業利益を安定的に上げる、高収益SSの業態を確立する」と、社内外に宣言しました。

過疎化・高齢化が進み、消滅してしまいそうな地域を「限界集落」と呼びますが、SSはまさに「限界業界」とでもいうべき経営環境です。
お客様がSSを求めなくなり、ガソリンが売れず、やがてSSは消えていく・・・。そんな世の中の流れに真っ向から逆らおうという企業戦略を打ち出したわけです。

年間5千万円以上の営業利益を生み出すSS業態を「ニコニコステーション」と名付けました。そして、実現目標の期日を35期と定めました。
あれから5年が経ち、3,670万円に届きました(グラフ1)。

     

残すところあと2年。果たして、赤っ恥をかくことになるか、はたまたドヤ顔ができるか。読者の皆様もご注目ください。

SS別に見たのが、グラフ2です。仲町台店は、すでに前年度から5,000万円に到達しており、さらに1千万円伸びました。

     

二番手は茅ヶ崎店です。4,000万円に到達しました。しかし、210坪の小規模SSですので、そろそろ物理的に限界かもしれません。
三番手は寒川SS。昨年10月に当社初の女性店長が誕生し、目下、当SSの月間ギネス記録を7カ月間連続更新中です。今期は、茅ヶ崎SSを脅かす存在になりそうです。

次に商品別に見ます。グラフ3は、1店当たり月間平均実績の推移です。

  

燃料油や洗車の収益は横ばいですが、5年間で、車検の月間粗利が1店当たり100万円、車販は140万円、レンタカーは200万円伸びました。特に2016年以降の伸びが著しいことが分かります。

この3品は、以下の施策が順次投入されたのです。
 車検…Webを強化。1店当たり月間20台増。
 車販…2015年に寒川店で新車リースを実験的に投入。順次他のSSへ波及させた。
 レンタカー…2016年に仲町台店で「Nメソッド」を検証し、順次波及。

SSの殻を破ろう

旧態依然のSS業態の延長線上で、その場限りの小手先の商材を投入し、キャンペーンなどでスタッフを懸命に鼓舞しても、横ばいを維持するのがせいぜいです。

今までなかった活動(販売イノベーション)を投入しない限り、数字は動きません。
たとえば、コンビニは、いつも同じ商品を並べているように見えます。ところが年間80%の商品が入れ替わっているそうです。激しいイノベーションですね。
そして、このイノベーションには投資が不可欠です。

たとえばレンタカー。どんな車種、車色、装備の車に人気が集まり稼ぐのか。投入しては検証することを、今も繰り返しています。昨年人気だった車種が今年はまったく稼がない、という例もあります。

つまり「Nメソッド」とは、PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を繰り返しながら変化する、生きた方法論なのです。

新車リースも同様です。当社が2016年に商品開発した当時と比べると、市場環境も競合環境も様変わりしました。
もしも3年前にリース会社から提供された商品を、教わった方法のままやっていたら、そもそも当社でブレイクしませんでしたし、「次はリースで乗り換えたい」と日々ご来店されるお客様も皆無でしょう。

SSという業態で売れるように商品開発するのも、無理せず売れる環境を作るのも、インターネットなどガソリン以外の集客源を求めるのも、店を指定工場にして車検のキャパシティを拡大するのも、「投資」をともなったイノベーションです。

イノベーションですから、SS業界のどこを見渡しても前例はほとんどありません。ですから、失敗もあります。しかし、きちんと「検証」すれば、失敗も大きな財産になります。

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