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活躍の場を増やすことも人の採用育成には大事

洗車前売り券は、麻薬と同じ

例年12月はSS業界も書き入れ時。タイヤ、オイル、バッテリーなど機能商品も、洗車やコーティングなどのボディメンテナンス商品もよく売れます。

当社SSは、かつて12月に洗車の前売り券をキャンペーン販売し、「見かけ」の営業利益を上げ、悦に入っていた時代もありました。2003年12月、当時2店舗を運営していましたが、洗車前売り券を2,500万円分販売し、油外粗利は5,300万円を超え、2,500万円の営業利益を得ました。

しかしこれは、向こう1年分の洗車を「空売り」したに過ぎません。当時の実質的な営業利益は100万円にも満たなかったと思うと赤面の至りです。
以来、洗車前売り券の販売を中止。このため長い間、12月の営業利益の記録を破ることができませんでした。
そして、油外販売の比重を車検、車販、レンタカーヘシフトしていったわけです。

こうして遂に2020年12月、6店で3,000万円の営業利益に達しました(表1)。
新設2年目を迎えた堀之内店も、堂々と利益貢献するようになりました。
洗車収益はわずか460万円。油外1億1500万円の4%に過ぎません。

  

燃料油が減販に転じたか?

昨年春に発出された緊急事態宜言が解除されてから、以降、燃料油販売量は前年比微増が続いていました。

しかし、昨年11月から2カ月連続で減販しているのが気になります。2018年後半にLINEの友達獲得キャンペーンを半年間実施しましたが、その効力が切れてきたのでしょうか。

SS別に比較してみました(グラフ1)。
販売量の大きい堀之内店と仲町台店が、大きく減販しました。
仲町台店はコロナが落ち着くまで、営業時間を24時間から16時間に短縮したので、減販も頷けます。

   

堀之内店は原因が思い当たりません。口銭も少なく、当社の知らない競合店が出現したのでしょうか。
このままではガソリン車の新車販売が禁止される2030年を待たず、SS唯一の優位性(自動車ユーザーの反復来店)が失われかねません。原因を調べる必要があります。

油外にも物理的限界がある

油外販売は、昨年12月も前年比1,200万円増と好調です。
車販は前年比倍増の121台。6月までに月販150台レベルに到達しようと目指していますが、順調に推移しています。

レンタカーはコロナ第3波の影響があったでしょうか。地元需要は堅調ですが、旅行・観光需要が減少しました。

当社6店の過去6年間の月間平均油外収益の変化を(グラフ2)に示します。
2018年に新設した堀之内店がグングン躍進し、先行店をごぽう抜きして、安定的に月間2,000万円以上を獲得するようになりました。



燃料油販売と同様、油外販売もSSの設備規模上の制約があると考えられます。たとえば、レンタカーひとつを取っても、210坪のセンター南店では同時に5台程度しか出発できません。しかし、650坪の堀之内店では20台が一斉に出発できます。

レンタカーだけではありません。SSの敷地は、中古車展示にも販売車両の納車や車検車両の取り回しなどにも活用できますので、堀之内店の方が圧倒的に有利です。
もちろん坪当たり油外収益は、センター南店が圧倒的に高いですが、そろそろ限界かもしれません。

当社のSSが2店増える

販売力があるのに設備上の限界があるのはもったいない。これを突破するには、新規出店が有効です。昨年12月号の本稿で、当社はSS拠点数を増やす方針であると述べました。簡単に振り返ります。

当社では仲町台店に続き、センター南店、寒川店、そして堀之内店が「年間営業利益5,000万円以上」をクリアするようになりました。

「一定要件を満たすSS案件」であれば、これを金太郎飴のように生み出せるビジネスフォーマットがほぼ確立したわけです。
しかし「一定要件を満たすSS案件」は、初期投資も増し、なかなか見つかりません。 そこで要件の基準を下げ、「年間営業利益2,000万円の店」としてみました。すると、対象案件(候補店)が大きく拡大します。低投資なので投資回収も早く、小回りが利くので環境変化にも適応しやすくなります。

折しも「10~20年内にガソリン車の販売を禁止する」と政府が発表しました。「ガソリンスタンド」は死活問題です。しかし、当社の店は「モビリティサービスショップ」なので、問題ありません。

当社には、年間5,000万円の営業利益を稼ぐことが「当たり前」と考え、行動するSSスタッフがどんどん育ってきています。

彼らに活躍の場を与えたい、と思っていたところ、神奈川県内で運営継承させていただける案件が2つ見つかりました。
1月から小田原市で、2月から川崎市で新たにSSを運営する予定です。本稿でも記していきますので、楽しみに待っていてください。

採用基準は「来るもの拒まず」

コロナ禍のおかげで、人を募集しやすくなりました。当社ではSS拠点数の拡大に向け、まずは20名の採用を計画し、合計8店の人員を大きく再配備しているところです。
ご参考までに、当社のSSの採用基準と人材育成について述べます。

まず採用基準は次の4つ。
➊普通に日本語で会話できる
➋SS勤務であることを了解している
➌60歳未満
➍希望初任給が当社基準内

ーこれを満たす人なら、定員に達するまで無条件に採用します。
適性検査も行いますが、参考程度。現場に投入してみなければ、適性は分かりません。適性がなければ、早い段階で自ら退職します。

この採用基準は1995年に当社がSS事業を開始して以来、変わっていません。
採用後、1年間は「契約社員」となります。

私は、お見合い期間と考えています。採用時に「被っていたネコ」も、次第に剥がれます。
もしも正規雇用してしまうと、素行不良があったり周囲との折り合いが悪くても、日本の法律では簡単に解雇できません。

そこで、1年間のお見合い期間を設けます。仮に、問題があった場合、その理由を開示した上、「雇用期間を延長しない」と伝えるためです。

10年ほど前からこの制度を運用していますが、幸い当社は今のところ、採用した全員を1年後に正規雇用しています。

新人育成は最初が肝心

採用するのは、SS勤務経 験も整備資格もない素人がほとんどです。まずは接客力と販売力を身につけてもらい戦力化します。

レンタカーはお客様が勝手に来店していただけますので、接客と洗車の基本は、1週間もすれば0JT(現場教育)で身につきます。

車の整備、日常点検やアドバイスは整備士が実施します。急いで身につけてもらう必要はありません。

新人には入社オリエンテーション終了後、次の3点を1カ月以内に習得してもらいます。

(a) 新規客の会員化 (リスト取り)
お客様にリピート利用していただくことは、あらゆる商売の原点です。そこでまずは 当店に初めてご来店されたお客様に、最高の笑顔で挨拶します。そしてお客様の個人情報をいただき、会員カードを渡します。手順どおりにやれば、8割のお客様が個人情報を記入していただきます。

(b)車検の予約獲得
来店車両のうち、およそ10台に1台は、3ヶ月以内にどこかで車検を実施しなければなりません。そのお客様に当店の車検の特徴を説明します。手順通りにやれば、4割以上がその場で申し込まれます。

(c)新車リースの見込み客発見
車の買い替えニーズは、お客様に尋ねてみないと分かりませんが、ご興味を示したお客様のニーズを聞いて見積を作成します。これを見て、リース会社の与信審査をしてみよう、と言っていただければ、あとは豊富な知識と経験を持った車販スタッフが引き継ぎ、成約します。

昨年の冬から「表2」の教育プログラムを試行しています。

(a)(b)(c)は、難易度の低い順です。それぞれ座学、ロープレ(疑似体験)、店頭訓練を実施し、規定の合格基準に達してもらいます。

ここで肝心なのは、成功体験を与えることです。放っておくと自己流で行います。うまくいかず、マイナスイメージしか持ちません。

そこで本社、SSが組織的に支援します。たとえば、店頭訓練は、キャンペーンイベントを短期実施して店内を盛り上げたり、インストラクターがマンツーマンで評価し、アドバイスを逐次行います。

「年間5,000万円の営業利益は当たり前」と感じるスタッフの育成は、ここから始まります。


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