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2020.10.15

代表コラム

油外放浪記第142回 新型コロナのダメージから復活し 車販の新たな切り口を探索

新型コロナの影響も5月まで

当社SSはここ3ヵ月間、燃料油販売量も油外販売も前年割れが続いていましたが、6月にようやく脱出しました(表1)。

緊急事態宣言が解除され、世の中が「ウィズコロナ」ステージに突入し、SS経営も落ち着きを取り戻してきたと感じます。この3ヵ月間の苦境を救ってくれた燃料油口銭は、大きく減少しました。と言うより、正常値に戻りつつあると言った方がいいでしょう。

何よりもお客様が行動自粛から解放され、SSに来店していただけるようになったことを大変嬉しく思います。
来店客数の回復は、燃料油だけでなく油外販売も活性化してくれます。総粗利に占める燃料油粗利の構成比は、5月までは22%とメタボ気味でしたが、6月は16%と健全体質に戻りつつあります。

営業利益は2,300万円(6店合計)。コロナ自粛明けにもかかわらず、当社SSの6月最高値となりました。
前年同月と比較すると、経費は300万円増えたものの、燃料油が1,100万円増収、油外も1,600万円増収となりました。車検も車販もレンタカーも需要が振るわない月なのですが、2018年末にオープンした堀之内店(東京都八王子市)が黒字化したことも大きいでしょう。

レンタカーが思ったより早く復旧

油外商品の中で、唯一前年割れしたのがレンタカーです。400万円も落ち込みました。
しかしこれは想定内、いやむしろ、想定以上の好成績と捉えています。

前年比120~140%と破竹の勢いで伸びていたレンタカーですが、コロナの襲来で、あれよあれよと前年比60%台にまで落ち込みました(グラフ1)。
この惨状を目の当たりにして、今後1年間はこの状態が続くかもしれないと判断し、レンタカー約100台を売却処分しました。

しかしその後、ニコニコレンタカーの全国実績は回復し、6月にはレンタカー利用数が前年レベルに戻ったことを、前号の本稿でもお伝えしました。
当社は車両を100台減らして売り上げ40%減を覚悟していたところ、わずか23%(400万円)の減少ですから、想定以上なのです。

ただ、このままでは夏のレンタカー需要を大きく取りこぼすことになります。慌てて今、レンタカーの再増車に取り掛かっているところです。
先が読めない「コロナ野郎」のお陰で、右往左往させられる毎日です。

コロナに影響されない商品を強化

当社は、「年間5,000万円以上の営業利益を恒常的に生み出すSS」づくりを目指しています。
コロナごときにその実現を阻まれるわけにはいきません。

そこで前々号と前号で、レンタカー収益が6割水準にダウンすることを前提に、他の油外販売の強化に乗り出したことをお伝えしました。

表2で、再度「コロナ対策新目標」を示します。


新目標の前提条件は、
 ➊燃料油特需は長くは続かない。
 ➋レンタカーの月間売り上げは160万円くらいで推移する。
 ➌経費はレンタカー車両原価くらいしか落とさない。

—というものです。

そこでこれをカバーすべく
 ➍車検客に対するアフターサービス点検を強化する。
 ➎コロナ時代に寄り添った車販の新メニューを開発する。

つまり、コロナの影響を受けにくい商品を強化し、月間340万円(年間4,000万円)の営業利益を得ようという計画です。

4月に新目標を立てて、5月からこの方向に舵を切ったわけですが、早くも6月、新目標にほぼ到達しました。

この春の特需で得た燃料油利益を使い果たす前に、新しい収益体制に移行できたわけで、SSスタッフたちも危機感を持って取り組んでくれたと思います。
そして想定外のレンタカー需要の回復。レンタカーの増車が完了すれば、その分の収益も積み上がります。

当社の会計年度は7月からです。今期は、念願の「1店当たり年間利益5,000万円」を果たせるかもしれません。

車販新メニューは「怪我の功名」

あのヒリヒリするような危機感は何だったのかと思います。
しかし、コロナウイルスが撲滅されたわけではありませんし、マーケットは今後、「新しい生活様式」の定着へ変化していくでしょう。

そんな中、新たな車販メニューを確立しつつあることで、当社SSはさらに強くなりました。まさに怪我の功名。転んでもタダでは起きないのが「油外放浪」の醍醐味です。
一体何をやったのか、説明します。

当社はSSとは別に、7箇所の空港前にレンタカー専業店を出店しています。約1,500台の車両を運用していましたが、 その需要がほぼ蒸発しました。
SSレンタカーは生活圏需要がターゲットですから、コロナにも意外な強さを発揮しました。しかし空港前、駅前、観光地のレンタカー需要は、当社に限ったことではありませんが、今なお壊滅状態です。

でも、車両コストは発生します。償却費、保険、税金などで1台当たり毎月4万円前後かかります。当社の空港前店は、インバウンド需要がなくなった3月、まずは500台を売却しようと考えました。

ところが、オークション相場は冷え切っています。ほとんど売れません。ならば、6箇所のSS店舗で一般小売りをしようと考えました。折しも、消防法が改正されたことが追い風となり、SS内に車両を数台ずつ陳列しました。(画像1)

目玉としたのは、中古車リースです。
 ●月々定額5000円~。
 ●車検、税金、オイル交換コミコミ。
 ●リース満了後は車を差し上げます。

「低料金サブスク」でお客様の興味を惹き、そこからお客様のご要望に応じて、新車や中古車の、販売やリースへ結びつけようという作戦です。

この3ヵ月間の販売台数をグラフ2に示します。

約20人が従来商品(中古車無在庫販売、新車リース)から新商品(中古車在庫販売)に流れましたが、車販トータル台数は60台から120台へほぼ倍増しました。

「新車/中古車」「無在庫/在庫」「販売/リース」
「買取/下取り」すべて試してきた

当社の車販ビジネスを振り返ります(グラフ3)。

まず中古車の買取から始めました。SSの向かいに専門店を立ち上げ、約10年間利益を出し続けてくれました。

しかし専任者が育たず、多店舗展開するほどのビッグビジネスにもなっていません。そうこうするうちに、中古車買取の集客手段は、店舗からインターネットヘ移ってしまいました。
ほぼ同時期に、中古車オークションからの落札代行、すなわち中古車無在庫販売(ダイレクトオークション)を始めました。

まずは車を買いたい人を見つけなければなりません。折込広告をさんざん試してみましたが、お客様は、まったく反応してくれませんでした。
したがって、SS来店客の中から見込み客を見つけるしかないわけですが、高い販売能力を有するスタッフしか売ることができません。

こうして数年間くすぶった挙げ句、とうとう初期投資5,000万円を投入し、SSの隣地を借りて中古車展示場までつくってしまいました。

無在庫販売に比べ現車の販売は遥かに簡単です。しかし、SS兼業では50台の在庫管理が難しく、パッとしません。他のSSにも物理的に展開することができません。やがて競合チェーンが強くなり、50台規模の中古車店では太刀打ちできなくなりつつあります。
こうして行き着いたのが「新車リース」、すなわち今流行りの「車のサブスク」です。

これも無在庫販売です。しかし店頭で陳列アピールしやすく、折込広告やホームページにも少なからず反応してくれます。コールセンターを設置することで見込み客を捉えやすくなり、当社の車販実績を大きく押し上げました。

「車販の救世主となるかは!?」と期待したのも束の間、3~4年もすると競合環境が激化、差別化が困難になってきました。
そんな中、余剰レンタカーの販売を機に始めた「中古車リース」が、「車のサブスクの低価格版」となりお客様の注目を集めることを狙っています。

3月23日付の日刊自動車新聞記事によると、コロナ禍によって車を「買いたくなった人」が18%伸びたそうです(グラフ4)。


車があれば、感染リスクの低い「プライベート空間」が確保でき、「ステイホーム」の閉塞感をも解消できる、こうした新たな評価が車に生まれてきているとのこと。
マーケットの変化に機敏に対応できるのもSSの強みです。

「車販月間20台」この命題に答えは?

SSの来店客の半数以上を、自店で販売した車両で埋め尽くしたい・・・。
そうすれば、どんなにガソリン市況が乱高下しようとも、どんなに低燃費車が普及しようとも、どんな天災が来ようとも、「生涯顧客」という揺らぐことのない営業基盤がSSにできる。
そう思い至ったのが2004年のことです。
以来、1SS当たり月間20台以上の車販を目指し、あの手この手の挑戦を続けてきました。

自動車の平均的な買い替えサイクルは約8年です。もしも月販20台なら8年間で2000台。もしも月間販売量200klのSSなら、固定客の約半数を車販客で占めることになります。
つまり、月20台を販売し続けなければ、生涯顧客数は永久に半数に達しません。
そう考え取り組んできましたが、この6月、車販需要の少ない6月にあって、120台(1店当たり20台)に迫る販売実績を得られたことは、「大きな足掛かりをつかんだ」のかもしれない。そう期待を寄せています。

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