SS全般

油外放浪記第141回 燃料油バブルの今 車検客ファーストのSSへ再構築

コロナも怖いが 燃料油依存症はもっと怖い

2カ月連続して燃料油口銭が高止まりしており、当社のSSは5月も過去最高益を出しました(表1)。

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響で、燃料油販売量、油外収益ともに大きく減少しました(前年同月比)。しかし、燃料油口銭がL13円も伸びたため、2,300万円以上の営業利益を得ました(6店合計)。

SSは休業要請をされない社会インフラビジネスであること、そして、同業者が価格競争を回避してくれていることに、素直に感謝しています。
その反面、飲食や観光・旅行・レジャー業界の悲惨な状況を報道で見るにつけ、申し訳ない気持ちになってしまいます。

東京都八王子市に新設した堀之内店は、昨年5月はまだオープンして半年後でした。レンタカーと車検が気を吐きましたが、450万円の赤字SSでした。
今年5月は車検とレンタカーの落ち込みを燃料油がカバーしてくれ、250万円の黒字となりました。まさか口銭がL4円からL20円近くにまで改善するとは、夢にも思いませんでした。

堀之内店の営業利益目標は、年間1億円です。コロナの影響で達成が遅れると考えていますが、しかし、黒字であり続けさえすれば生き延びられます。
ただ、経営者としては楽観できません。

ついに燃料油の粗利構成比が2割を超えてしまいました(グラフ1)。
燃料油の収益貢献度がどんどん増していることに、恐怖すら感じます。

コロナが収束し、油外が回復するのが早いか、燃料油バブルが弾けるのが早いか、その瀬戸際は、もしかしたら目前かもしれないのです。
いや、コロナが収束しても、SSがすっかり「燃料油依存症」に感染してしまっているかも分かりません。

燃料油販売量とレンタカーは下げ止まる

首都圏では、3月初旬に公立学校が休校となり、4月27日に緊急事態宣言が発令、ゴールデンウイーク(GW)をはさみ、5月26日に解除されました。6月に入り、登下校する学生の姿も目にします。
「ステイホーム」によるSSへの影響は、5月に下げ止まったかもしれません。

当社SSの商品別粗利の前年同月比を「グラフ2」に示しました。


燃料油販売量は、4月に前年比84%にまで落ち込みました。5月は横ばいです(ただし口銭は増加しています)。

車検はコロナと無関係な法定需要商品です。しかし有効期間が延長されたため、3月車検分を4月に挽回した格好です。コロナ第2波、第3波の襲来が心配されていますが、燃料油需要が減ることはあっても、車検需要は堅調だと再確認しました。

レンタカーが下げ止まったのは朗報です。当社はこれまで、SSレンタカーがどこまで収益を伸ばせるか、実験を兼ねチャレンジしてきました。車両保有台数を増やし、足元生活圏のレンタカー需要だけでなく、遠方からのビジネス利用や行楽利用客も多かったわけです。
ところが、コロナによって春の行楽需要が蒸発、4月、5月ともに前年比6割近くまで激減しました。

一方で、生活圏内を移動する「足」としてのレンタカー需要は意外に堅調です。当社が主宰するニコニコレンタカー全店の集計(グラフ3)を見ると、3月は概ね前年比9割、4月に入って前年比8~6割にまで減少、GWは55%減となりました。 

しかしこれをピークに、5月後半から6月初旬にかけて回復しています。
当社もコロナが収束するまでの間は、背伸びをせず、地元需要に見合った供給台数でラインナップしていこうと、余剰レンタカーの販売に注力しているところです。新組織を立ち上げ、夏までに処分する計画です。

なお、先月号の本欄でコロナ対策として緊急レンタカーサービスを実施したとご紹介しました。需要がなく駐車場で埃(ほこり)をかぶっているレンタカーを、せめて維持費だけでもお支払いいただければお貸ししますよ、というのが内容です。

4月中旬から5月末にかけて募集したところ、問い合わせ件数は124件あり、82台をレンタル契約していただきました。おかげで約350万円のレンタカー経費を節約できたことになります。

車検客に対するアフターフォロー点検を強化

さて、先月号では、コロナの影響で変化した消費者ニーズに対応するため、新たな目標と対策を立案したことを述べました。

これを「表2」に再掲します。

   
その骨子は、
 ➊燃料油に左右されないSS体質に戻す。
 ➋レンタカーは足元需要に対する供給を満たすレベルまで縮小する
 ➌代わりに車検、車販、およびアフターサービス点検を強化し、
  油外収益をコロナ以前の水準にまで回復させる。
 ➍したがって経費は削減しない。
—というものです。

5月は、新目標に向かう当社SSの第一歩でした。
新目標に対し、1ヵ月でどこまで進んだのでしょうか。

真っ先に着手したのは、アフターサービス点検です(当社では「サイクル点検」と呼んでいます)。車検実施後、6ヵ月ごとに定期点検で入庫していただき、整備需要を深掘りしつつ、お客様との信頼関係を強め、車検のリピート率を改善するのが狙いです。

昨年9月からダイレクトメール発信やコールセンターを駆使し、オイル交換の無料サービスを訴求して集客しており、これをさらに強化しているところです。

この5月は、37%が入庫してくれ、従来比2ポイント改善しました。受注した整備の客単価も少し上がりました(表3)。
おかげで目標である150万円/月に、いち早く到達しました。

そこでアフターサービス点検の粗利目標を、240万円/月へ上方修正しました。入庫率45%、1台当たり粗利1200円です。ここに到達するには、もう一段、もう二段の試行錯誤と検証が必要でしょう。

コロナウイルスが駆逐されたわけではなく、有効なワクチンもまだ開発されていません。いつまたパンデミック(感染爆発)が再燃するか、これに伴う景気の悪化、消費者の購買力の低下など、誰も予測できません。

しかし、車検を中心に顧客接点を充実させれば、もしもの場合の影響を最小限に食い止めることができるでしょう。従業員やお客様に報いることのできるSSづくりに、必ずやつながると確信しています。

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