3月は「車検ギネス」を毎年更新!
1年のうち最も車検が売れる3月が終わりました。
当社が運営するSSでは、2年前から車検販売の大改革に取り組んできましたが、今年の3月は前年比約200台増の997台。大台まであと一歩だったのは残念ですが、ギネス記録は更新しました(グラフ1)。
インターネットによる受注が増えたため、車1台当たりの車検粗利はやや減少したものの、車検収益は400万円伸びました。
懸案だった燃料油口銭も改善しました。ただ、車検に躍起になりすぎたためか、他の油外が伸び悩み、油外収益全体では190万円ほどしか伸びませんでした(表1)。
「年間8000台の車検を獲得する」という2年前に立てた命題は、今年こそクリアできるでしょう。店頭での販売活動も、商圏に対するミラーリング活動やインターネット販売も、ずいぶん洗練されてきました。油断はできませんが、ほぼ「軌道に乗った」と見ていいでしょう。
顧客満足は小売り業の生命線
油外収益の足を引っ張ったのがレンタカーです。
今や1400店を数える大規模チェーンに成長したニコニコレンタカーの、全店平均実績は変わらず伸びています。それにもかかわらず、あろうことか、その発祥SSが前年同月比マイナス270万円という由々しき事態です。
レンタカーの顧客満足度を見て愕然としました。
ニコニコレンタカーは全店の 利用客の満足度をシステマティックに計測しています。顧客満足度の高い店は、9割以上のお客様が満足しています。これが当たり前の状況でしょう。
しかし当社SSの満足度は5割そこそこ(グラフ2)。
満足度レベルでランキングすると、下位グループに位置します。これでは未来はありません。
一般的なレンタカーが観光や出張などの遠方客や法人を主なターゲットにしているのに対し、 私たちのレンタカーは「生活レンタカー」と称し、地元の個人客が日常的に活用していただくことで成立します。つまり、リピーターが命なのです。
その点ではSSビジネスと変わりません。いくら価格が安くても、品質、接客、クレンリネスが悪ければ、顧客満足は得られません。
グラフ3は当社NT茅ヶ崎SSのレンタカー売上実績です。
新規客売り上げが減少しているのは、車検にかまけてレンタカーの販促がマンネリ化し陳腐化したためと思われます。それよりリピーターが激減していることに愕然とします。
「もう二度と使わねえ!」というお客様の怨嵯を感じます。
すぐさま店長たちを叱責しました。「お客様の不満足の声に対し、あまりにも鈍感である」と。
「小売りビジネスの基本」をないがしろにしてはいけません。いや、レンタカーは氷山の一角。数字には現れないけれども、店舗運営のそこかしこに「声なき不満」が潜んでいるに違いありません。気配り目配りが行き届かなければ、私たちの商売は足元から崩壊します。
車検の次は、車販に取り組む
さて、気をとり直してSSの販売戦略の話です。
燃料油粗利が逆ザヤになっても負けない強固な体質のSSをつくるのが、私に課せられた大きな命題です。洗車、オイル、タイヤ、鈑金などの全方位型油外販売は、スーパーマンのような店長がいれば可能でしょうが、残念ながら当社では望めません。
そこでまずは車検に一点集中し、個人の力量に負わない販売方法を模索しました。これが何とか形になってきたのは前述のとおりです。
しかし、まだ足りません。
車検の他に一点集中することにより、大化けする可能性のあるものに「車販」が思い当たります。
中古車の無在庫販売(ダイレクトオークション)には当社も古くから取り組んでおり、一定の成果を挙げてきました。しかし、これだけでは限界があります。現車を見せずに中古車が売れる人材は、非常に限られているからです。
その一方で、ときどきレンタカーに値札をつけてSSに展示しておくと簡単に売れます。その経験から、中古車を展示すればもっと売れるだろうとは思っていました。しかし、SSに常時何十台も車を展示することはできません。
ならば、新車の販売はどうだろうか。これなら在庫がなくてもカタログを見せれば売れます。
ーーなどと逡巡しては、あちこちの車屋さんや専門家に教えを請う日々を過ごしてきました。
私が「車販」に求める条件は以下のとおりです。
①1SS当たり月間20台以上を販売し、300万円以上の粗利益を安定的に獲得したい。
②特殊な能力を持たない新人スタッフでも売れるようにしたい。
車販で300万円を稼げば、車検収益その他を含め、1SS当たり月間1000万円以上の油外収益を確保できます。
これを続けると、5年後には1000人以上の車の購入客が蓄積されます。メンテナンスは車を買った店へ戻ってくるという「帰巣本能」にも似た心理が働きますから、この1000人は文字通り、当社の「ロイヤルカスタマー」です。
過去の経験から、ロイヤルカスタマーは車1台当たり月間5000円の油外粗利をもたらしてくれます。
したがって、5年後にはロイヤルカスタマーだけで月500万円以上の油外収益が加わります。合計1500万円以上の油外収益が毎月安定的に確保される計算です。これなら十分に戦えます。
車販改革のトップバッターは平塚SS
昨年、当社の平塚SSの隣の農地を借りることができました。
そこでこの200坪のスペースに、念願の中古車の展示販売場を併設しようと取り組んできました。役所の手続きや整地などに時間がかかりましたが、今年2月にオープンしました。
この平塚SSは田舎の小さな店にもかかわらず、収益貢献度の高いSSで、燃料油販売量は月販200kl、油外粗利は月平均800万円。車検はほとんど販促費をかけないにもかかわらず、毎月70台を獲得します。この3月は142台が入庫しました。
小さなピット1基だけでは足りず、油圧ジャッキを使ってフィールド上で点検整備しているようなSSです。
それでも燃料指数は0.09(表2)ですから、安心できません。あと200万円の利益が欲しいところです。その切り札として中古車の展示販売という新たなチャレンジが始まりました。
車販も「地域一番店でなければ勝てない」と教わってきましたので、商品構成は、中古の軽自動車に絞りました。軽自動車比率の高い地域であり、70台以上の在庫を確保すれば、軽自動車にあっては地域一番店になるからです。
5年落ち未満の中古車で、販売価格が40万円前後の車両を、200坪の敷地に50台、バックヤードに20台並べました(写真1&2)。
また販売担当者として2名の新人を採用しました。
一人は中古車業界にいた50代のベテランAさん、もう一人は車とまったく無関係の業界から来た40歳のBさんです。
いずれも車販専任ではなく、SSとの兼任業務です。オープン準備の合い間にたどたどしくロールプレイングを行いました。高年式の軽自動車に絞り込んだため、2カ月もすればプロ並みの商品知識や商談スタイルが身につくだろうと期待しています。
商圏告知は、折り込み広告10万枚、ダイレクトメール3000通。店頭にはサインポールとのぼりを立て、2月7日にオープンしました。
表3は、平塚SSの2~3月の軽自動車販売部門(ニコモ湘南)の実績です。
まだ目標には程遠いですが、解決すべき課題が具体的になったのは収穫です。