SS全般

油外放浪記第98回「車販は即効性を求めるべからず」

~「当社SSの今昔」10年~

当社が運営する5SSの「10月平均実績」を表1に示します。
昨年同月と比較すると油外は130万円増えましたが、経費も130万円増えました。燃料油が販売量、口銭ともに微増したので、かろうじて前年比プラス50万円の営業利益となりました。

経費を増やしたら、少なくともその2倍以上の収益増を求めているのですが、平塚SSに設置した自動車販売専門ショップの費用負担が大きく、これがまだ軌道に乗っていません。
とは言え、5年前、10年前と比較すると、当社SSも随分様変わりしたと感じます(表2)

10年前に比べると、燃料指数は7.6改善し、人件費効率も39%改善。にもかかわらず、営業利益は70万円近く減少しています。まず燃料油収益が1SS当たり、実に380万円も失われていることに愕然とします。販売量が半減し、口銭たるや3分の1に激減です。

洗車収益の減少も大きいですね。
かつては1SS当たり月間150万円を稼いでいましたが、今や25万円の体たらく。私を「洗車嫌い」だと評する人がいますが、昔は油外収益の柱にしようとがむしゃらに力を注いだものです。15年前、まだ1SSしか運営していませんでしたが、洗車だけで月間平均550万円の収益を稼ぎ、意気揚々でした。

それがなぜ、25万円になってしまったか?
洗車の限界に気づいてしまったのです。洗車はあまりにも労働集約型で、天候や季節に左右されやすい商品です。私個人の好き嫌いではなく、経営者としては安定的、計画的、かつ生産性の高い商品に経営資源を集中せざるを得ません。

決して洗車を捨てたわけではありませんが、目標管理の対象からは外しました。すると、接客中に洗車を「声かけ」しなくなってしまいました。
その結果、あれよあれよと洗車収益が下がってしまったわけです。逆説的ですが「声かけ」の威力を改めて思い知らされます。

ともあれ、わずか10年で燃料油380万円、洗車120万円、合計500万円の収益を失いました。10年前は想像さえしていなかった現実です。5年前はこの急激な変化について行けなかったのでしょう。当時、どのSSも慢性的に赤字を計上していました。

五里霧中で悪戦苦闘しました。
10年かけて油外収益が500万円増え、気がつけば、油外収益だけで総経費をまかなえるSSになりました。その立役者は「車検」「レンタカー」「車販」です。それぞれ10年間で100万円、200万円、300万円増収しました(グラフ1) 。

車検は社長が本気を出せば結果が出る

最初に取り組んだのは車検です。
油外商品数あれど、車検は唯一、法律で義務づけられ購入期限が定められている商品です。お客様には「買うか買わないか」の選択肢はありません。「どこで買うか」を判断します。
ですから、他店より魅力的な商品を作り、店頭や商圏にしつかり告知すれば、車検は増えます。

このためにできることは何でもしてきました。ようやく昨年、年間8000台(5店舗合計)に到達するようになりました。目下の新たな課題は、車検作業キャパシティの拡大です。設備と人の増強に手を打っているところです。

レンタカーは車両台数を適正化せよ

10年前にはなかった油外商品がレンタカーです。
車検以上にSS現場の販売努力を要しない商品です。車の供給量(保有台数)さえ見誤らなければ、SS収益を力強く下支えしてくれます。

当社SSは平均40台を運用していますが、ニコニコレンタカーのフランチャイズ店の中には、レンタカー保有台数が10台以下のSSも多く見受けます。10台以下だとSS経営に対するレンタカーのインパクトを、経営者はほとんどお感じになっておられないだろうなぁ、もったいないなぁ・・・とつくづく思います。

試しに20台くらい持ってみると、間違いなく視野が変わります。問題はレンタカーの原価や維持経費がかかることです。その管理は必要です。でも、営業利益率が30%以上を確保できる商品が、そうあるものではありません。

車販は今後の油外の柱

当社が車販に取り組み始めたのは12年前です。
中古車オークションからの落札を代行する、いわゆる「オークションダイレクト」です。開始当初から「SS来店客の半数以上を当社で売った車で占めたい」という野望を持ち、相当力を入れました。しかし、SS当たり月間販売台数は3~4台がやっと。車販にかまけて他の油外販売が疎かになってしまうというオマケつき。本社に車販専任組織を置いてみたり、買取専任チームに実験的にSSを任せてみたり、平塚SSには中古車展示場を併設してみたりしましたが、なかなか決定打は見つかりません。

そんな中、昨年実験投入した「個人向けオートリース」が今、ブレイクし始めています。

イベントは集中プロモーション活動

当社が開発した個人向けオートリースを「定額ニコノリパック」と言います。

グラフ2は、その契約実績の推移です。傾向を見るため、3カ月間の移動平均値を示しています。どのSSでも、発売時はスタッフ育成も兼ねてイベントを実施しますので盛り上がります。

しかし、その勢いも数カ月で止まり、徐々に下降する様子が見られます。いったい持続性に欠けるのは当社だけなのでしょうか。だんだん手抜きや我流が始まり、熱意が薄れ、販売行動の量と質が劣化してしまうのです。

そこで急遽イベントを実施し、店を挙げて盛り上げたところ、見事に立ち直りました。他のSSも同じ状況に陥りましたので、今、順番にイベントを行っているところです。ここで言う「イベント」とはモノくれ集客ではありません。スタッフ育成とモチベーション向上、そして見込み客発掘を同時に行うものです。そこで以後、このイベントのことを「集中プロモーション活動」と呼びます。

その内容は、店頭告知を強化し、ディーラーから新車を借りて展示します。チラシに企画を盛り込み、来店を促進します。そして来店客全員を商談コーナーに誘い、抽選、アンケート、そして定額二コノリパックの宣伝をさせてもらいます。こうしてスタッフにはたくさんの尚談機会を与え、同時にたくさんの見込み客をつくります。

チラシはコヤシ(肥やし)

ガソリン客を新規に集めるには、チラシを撒くのが常套手段です。車検もチラシを撒けば、新規客が獲れます。当社の場合、毎月200件以上を新規受注していますが、折り込み広告、ポスティング、ミラーリングなどを継続的に実施しています。定額ニコノリパックも同様にチラシを撒いています。しかし、撒けども撒けども反応がありません。ガソリンや車検のチラシは、撒いた日から1週間ほどの間、明確な反応がありますが、オートリースのチラシは効果がないように見えます。車の買い替えサイクルは平均8年(96カ月)です。

つまり、車を今月買い替えようと考えている人は100人に1人くらいしかいません。
ですから3万枚のチラシを撒いても、ターゲットは300人です。
このうち、チラシをじっくり見てくれた人が5割の150人いたとして、オートリースという特殊な方法にご興味をいただくのは全国調査結果によると25%。計算上は37人が反応するかもしれないと導き出されます。

しかし実際は、チラシを握りしめて来てくれるお客様は月に0~1人。
何ともコストパフォーマンスの悪い商品と言わざるを得ません。そこでチラシを止めてみました。すると毎月の成約台数は、みるみる下がってしまいました。

慌ててチラシを復活しました。
相変わらず反応はありません。でも、月々の成約台数がまた上がり始めるのです。車のハンドルを切るのとは異なり、まるで30万トンタンカーの舵を切るように、ゆっくりジワジワした効果が現れます。というわけで、オートリースの販促は即効性を求めてはいけないと覚悟しました。個人向けオートリースに限って言えば、チラシは、じっくり情報を浸透させていく手段なのです。いつか何かのきっかけで思い出してもらったとき、初めて「見込み客」となります。

現に「集中プロモーション活動」で給油客にアプローチしてみると「あ、知ってるよ。チラシを見て気になっていたんだ」と言われるケースがよくあります。そう、チラシは商圏に対するコヤシ(肥やし)なのです。痩せた畑で種を蒔いても不作になる・・・という考えに至りました。
果たして、これがSS業界の諸兄にどれだけ受け入れられるでしょうか。

「集中プロモーション活動」は種まき、次に水やり

このように頭を切り替えた途端、これを裏付けるかのような結果が出ました。
当社仲町台SSで10月に「集中プロモーション活動」を実施した結果が表3です。

9日間で310人と対面し説明しました。狙い通りの商談訓練回数です。

期間中、何と12台の車販がありました。このうち定額ニコノリパックは9件です。

9件のうち、給油や車検で来店されたお客様に説明して即決したお客様が1人、その他は、以前からチラシを見、ホームページを見、コールセンターに問い合わせ、目的を持って、たまたま「集中プロモーション活動」期間中に来店していただいたお客様でした。

つくづく「コヤシ」が効いてきたと実感します。
「コヤシ」を撒いたら次は「種まき」ですね。
期間中、310人に種まきをしたことになります。これまでSS各店で同様の「集中プロモーション活動」を繰り返してきましたが、後日、50人に1人の割合でお客様が戻ってきて成約する、という事実があります。

50回種まきをして1個の実が成るのなら、種まき後に「水やり」すればもっと実が成るのではないか。すなわち見込み客に対して店頭接客やダイレクトメール(DM)でフォロー活動をしてみようと今考えています。いったいどれくらいの期間フォローすれば豊作になるのでしょう。農家は半年後の収穫、木こりは50年後の伐採を考えて今日の行動をしています。

車販もやるだけやってみよう。
さて「結果が出るのは何年後かな?」という感じです。

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