燃料油販売量が前年比120%
いつものように、当社直営SSの営業実績をご紹介します。
表1は、2019年12月の実績です。
昨年は後半から燃料油の増販に力を入れましたので、販売量は前年比120%となりました。
総粗利1億900万円に対し、燃料油は10%しか貢献していません。でも、油外商品の販売対象客を集客してくれる、唯一無二の商材が燃料油です。
こういう考えから始めた増販活動は、半年間で所期の成果を得ましたので、昨年12月をもっていったん終了しました。
年初からは、新しいお客様を油外客にしていくよう注力しています。新規客にとって油外購入の入口に適した商材は、やはり洗車、オイル、タイヤでしょう。
表1では、これらの商材は「その他」とひとくくりにしていますが、来店客数が増えたにもかかわらず、「その他」の粗利が30%近く減少しているのが気になります。当社SSのスタッフが重点販売できるのは、せいぜい2品まで—「車検」「車販」と決めていますが、そこに3つめのテーマを与えると、必ず1つが抜落ちてしまいます。
今まで何度も辛酸をなめてきたわけですが、さてどうしたものでしょうか。
新設店も1年経つと基盤ができる
「堀之内店」は一昨年11月、東京都八王子市に新設したSSです。
オープンして1年間は赤字続きでしたが、ようやく収支が落ち着いてきました。
開店以来、新規客の会員化を徹底しているので、燃料油販売量は安定的に毎月500klを示すようになってきました。
オープン当初は、新参者に対する洗礼でしょうか、燃料口銭がマイナス7.4円という厳しいスタートでした。そんな価格競争も、やや落ち着いてきたと感じます。
経費が2倍以上増えました。最初の半年間は本社が販促支援していましたが、これがなくなったこと、そして、レンタカーを大幅に増車したからです(昨年12月現在108台)。
レンタカーは、経費の増加分以上に稼いでくれましたので、利益が倍増しました(グラフ1)。
1年間営業してきたので、多少は商圏内でもレンタカー店として認知されてきたでしょう。リピーターも増えてきました。まもなく学生は春休みに入ります。引っ越しや新生活シーズンにも突入します。
レンタカー需要が高まりますので、しっかり応えていきたいと思います。
また3月は車検の需要期でもあります。車検販売は人的行動が不可欠ですので、1月から店頭キャンペーンを実施しているところです。
年間営業利益5,000万円への道半ば
堀之内店は、「年間1億円の営業利益を生み出す店」を目指して創ったSSですが、損益分岐点が月間2,000万円という重量級SSになってしまいました。
しかし、投資額以上に稼げば、必ずや年間1億円(月間840万円)の営業利益を出せるようになると確信しています。
一方、他の5店はごく一般的な商圏、一般的な設備のSSです。
6年前、私は「年間5,000万円以上の営業利益を生み出すSS業態を創ろう」と決意しました。これが今、どの程度はかどっているでしょうか。
当社は昨年7月から第34期に入っています。
表2は、上半期の各店の営業利益です。
既存5店の合計を見ると、前年比147%と、まずは好調に推移していることが分かります。
筆頭は仲町台店です。
すでに前期(33期)に6,400万円の営業利益を出し、目標到達に一番乗りしたSSですが、今期(34期)は上半期で4,600万円を計上しました。堀之内店を差し置いて、年間1億円の営業利益を出す勢いです。
販売力を下げずに経費を削減
仲町台店の大躍進は、油外販売一辺倒から生産性の向上へ舵を切ったことにあります。
表3をご覧ください。
月間粗利が117万円増加したにもかかわらず、経費を200万円減らしたため、営業利益が300万円以上増加しました。
人時生産性(1時間当たり粗利)は、6,100円から7,300円へ1,000円以上改善しています。
敷地面積360坪の店舗設備、半径2kmに2万6000世帯という商圏規模の店です。店の外で稼いでくれるレンタカーは別として、店の中で稼ぐ商品は、そのキャパシティの制約とマーケットの飽和から、いつか限界がきます。
そこで仲町台の店長は、拡販だけでなく、ムダの削減にも目を向け始めました(表4)。
決して闇雲にコストカットしているわけではありません。
たとえば、販促費(広告宣伝費)は、ほとんどカットしていません。
25年も前のことですが、最初にSSを始めるとき、小売り指導の泰斗、故・須田泰三先生から、こう教わりました。
「増田さん、『愚か者の3K削減』は絶対してはいけませんよ」
「愚か者の3K」とは、光熱費、研修費、広告宣伝費のことです。あれから四半世紀。須田先生、私は今も頑なに、この教えを守っています。
「鈑金塗装事業」最後の戦い~その後
本誌・昨年12月号で、当社の鈑金塗装事業の混迷ぶりを述べました。
工業団地の裏路地に300坪の鈑金工場を開設したところ、固定費が月間650万円かかり、毎月300万円もの赤字が累積していました。
そこで、薄利でやっていた社内の下請けをやめ、自ら集客・営業しようと、昨年11月、表通りに鈑金ショップ(サテライト店)を出店したわけです。
その経費が追加され、損益分岐点は月間1,000万円にまで跳ね上がりましたが、私の皮算用は次のとおりです。
➊鈑金ショップの前面道路通行車両をメインターゲットとする。
➋前面道路の通行量は1日2万台。したがって、日常的に(月に1回以上繰り返して)
前面道路を利用するのは約20万台である(弊社マーケット調査結果より)。
➌年に1回以上、キズの修理のために車両保険を使う人は10%(保険会社より)。
したがって、前面道路利用者のうち年間2万台に鈑金塗装の需要が発生している。
➍このうち1割のシェアを獲得する。すなわち年間2,000台=月間170台を受注する。
➎そうすれば、鈑金粗利は月間1,000万円を超える。
さらに、ホームページによる受注や損保会社の下請け分が上乗せされ、黒字化する。
—というわけです。
看板力で鈑金塗装需要を吸引できるか
前面道路を利用する20万人に対して告知し、10%のシェアを獲得するにあたり、最大の課題は看板です。
たとえば、看板の製作設置に500万円の費用をかけたとしましょう。
10年間(3,650日)掲示すれば、日給1,370円です。1日2万台の通行車両のうち10%がこの看板を見てくれたとして、2,000人に告知できます。
したがって、告知1件当たりの費用は、1,370円÷2,000人=わずか0.7円。
ロードサイドショップにとって看板とは、かくもローコストな広告宣伝手段なのです。
しかるに、前述の須田先生からは、こうも教わりました。
「お客様は、看板を見ていて見ないものです。興味を惹くには『動かす』『光らす』『出っ張らす』ことだ」と。
そういうわけで、私はかねてからLED看板に注目しています。かつて、センター南店に大型LED 看板を設置した途端、条例違反だと指摘され、1日で撤去した失敗談を本稿でご紹介したことがあります。
でも、私はへこたれません。
店頭には動いたり光ったりしない固定看板を設置しますが、代わりに軽トラックの荷台にLED看板を載せ、町中を走らせてみようと考えました。
そうすれば、半径10分圏エリア、横浜市都筑区全域20万人に告知できます。
さっそく発注しました。ただ今製作中で、2月頃から稼働する予定です。