SS全般

油外放浪記第135回 競合レンタカー店は指をくわえて見ているしかない

オリンピックイヤーに期待

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
いよいよオリンピックイヤーの幕開けです。
日本中が一つになり活気づき、個人消費も刺激されるでしょう。五輪景気の恩恵が、われわれSS業界にも回ってくるでしょうか。

それにしても昨年10月の消費増税に対する反動はきつかったですね。当社SSはかねてから燃料油増販に取り組んでいましたが、10月は増販ペースが極端に鈍りました。
車販は何と、前年比900万円減、営業利益は3割減となりました。

当社のSSだけではないだろうと調べてみたら、鉱工業指数も大きく落ち込んでいました。他にも、自動車販売台数は25%減、首都圏のマンション販売戸数は3割減、大手百貨店の売り上げも2割減。小売販売指数がマイナス7%ですから、当社SSの油外収益が6%減にとどまったのは、むしろましだったのかもしれません。

本年もオリンピックが終わった途端、マーケットが急速に冷え込まなければいいのですが・・・。

お客様が求めるものを売る

当社SSの昨年11月の実績を見てほっとしました(表1)。
消費増税の反動は1カ月で回復したようです。

SSの取り扱い商品は「最寄り品」がほとんどですから、2%増税したからといって、極端に買い控えできないのだと思います。

既存5店の実績を見ます。
燃料油の増販ペースは前年比116%と回復。車検は昨年9月以降、需要自体が縮小期に入っています。

当社は前年比45台減少しましたが、客単価を35千円から40千円に上げることができたので、粗利は170万円増加。車販もプラス100万円と回復しました。

レンタカーは絶好調を維持しています。前年比550万円の増加です。
経費が400万円増えました。しかし、粗利の増加がこれを上回りましたので、営業利益は230万円増大し、1700万円となりました。

業績が悪化すると、これを挽回するため、オイル、タイヤ、バッテリーなどの販売強化商品を決め、声かけキャンペーンを行うことが、SS業界の定番です。しかし、「売りたいものを売る」のは一過性のカンフル剤でしかなく、自転車操業になりがちです。

当社は、お客様が「必要とするものを売る」姿勢をいつまでも守りたいと考えます。一見、環境変化への機敏な対応に不利なようですが、顧客ニーズの根底を見誤らない限り、必ず業績は回復します。

その代表例がレンタカーです。この2年間、伸びが止まりません。
例年11月はレンタカー需要が冷え込みますが、当社SSは前年比138%増加、新設店を含めると、6店で2900万円を稼ぎました。

SSレンタカーはアウトレンジ戦法が効く

ボクシングはリーチの長い方が圧倒的に有利です。相手の手の届かないところから攻撃することを「アウトレンジ戦法」と言います。

当社SSのレンタカーも、まさにアウトレンジ戦法で商圏内需要を一方的に吸い上げていると感じます。

マーケティングの観点から説明します。

図1は、「市場価値」の方程式です。
品質(機能)が高いほど、価格が安いほど、市場価値は高まります。市場価値とは、お客様目線では「コスパ」、お店目線では「商品競争力」と言い換えていいでしょう。


たとえば、ガソリンはどこで買っても品質は同じです。ですから、L当たり10円でも安く売ると市場価値は高まり、お客様が殺到します(厳密には立地、設備力、運営力などの要因も加味されますが)。

レンタカーに当てはめてみます。
いわゆるSSレンタカーは、「中古車レンタカー」から始まりました。その品質を「1」、価格を「1」とするとー。

(A)SSレンタカーの市場価値=1÷1=1  となります。

一方、従来からある一般的なレンタカー屋さんは、新車をラインナップしていますので、品質は「2」。価格もSSレンタカーのほほ2倍ですから「2」です。したがって、

(B)従来レンタカーの市場価値=2÷2=1  となります。

市場価値は同じなので、お客様の好みは、従来レンタカー派とSSレンタカー派に二分されてきました。

ところが当社のSSは、この2年間、お店の都合を排して、お客様のニーズを徹底的に分析し応えてきました。つまり「Nメソッド」を開発・推進する一環で、どんどん高年式車両に入れ替えてきました。
車両を高年式化しても、コストはほとんど変わりません。
そして顧客満足度は上がり、売り上げが増え、利益率が改善します。

直営6店のレンタカーは500台以上を保有するようになりましたが、その9割が初度登録から5年以内の車両、うち半数以上を新車が占めるようになってきました。
もちろん自動ブレーキなどの安全装置、ブルートゥース付きカーナビ、バックカメラ、USB端子、ドラレコなども標準装備です。

市場価値の方程式に当てはめると、品質が「2」になります。
価格は「1」のままですから、

(C)Nメソッドレンタカーの市場価値=2÷1=2 となります。市場価値が2倍になりました。

こうなると、大人と子供の戦いです。特に広告宣伝もしていませんが、リピーターが増え、クチコミが広がり、商圏客がこぞって集まるようになります。

一方、従来のレンタカー業者は指をくわえて見ているしかないのです。
彼らは専業店ですから、店舗設備や人件費などの固定費がかかります。車両1台当たりの経費は10~12万円です(当社調べ)。

対して、「SS兼業」レンタカーは、1台当たり4~5万円の経費しかかかりません。
損益分岐点が2~3倍高い従来レンタカーは、逆立ちをしても価格対抗できないのです。

相手が対抗できないところから攻撃できる、まさにSSレンタカーはアウトレンジで戦えるわけです。

新設店の1年間を総括

この戦法を最初から投入し、たちまち当社ナンバーワンのレンタカー収益を稼ぐようになったのが、堀之内店です。

一昨年11月にオープンし、このほど1周年を迎えました。
もともと燃料油を仕入れさせていただいている燃料商社から紹介された、東京都八王子市の東部、多摩ニュータウンの一角にある750坪の空き地物件でした。

私はかねてから、SS業界が夢と自信を取り戻す一助になればと考え、年間1億円の営業利益を生み出すSSを創りたいと思っていましたので、渡りに船です。

市場調査を経て、「ぜひSSをやらせてほしい」と申し出ました。
立地がいいので、ファミレスなど他業界からも手が挙がっていましたが、土地賃料の高さから、ほとんどの事業者が手を引いてくれました。

次に、営業利益1億円を創出するための「箱」をどうするかです。
建設会社からは、3億円超の見積もりが出されました。すると今度は、前記・燃料商社から「投資基準に見合わない」と敬遠されてしまいました。

私も意固地です。銀行と交渉し、自前で資金調達することになりました。
こうした難産の末に開店した当社初の自己投資物件ですから、思い入れもひとしおです。

この1年間の営業実績を振り返ります。
表2は、月間平均値です。営業利益はマイナス260万円となりましたが、計画値より100万円多く稼ぎました。計画値を大きく上回ったのは燃料油販売量とレンタカーです。

この1年間の重点テーマをレビューします。
①会員1万人
「年間営業利益1億円」を達成するためには、2万5000人の固定客を確保する必要があります。燃料油販売量にして月販500klが目安です。
1年目は、月間販売量300kl、会員1万件を目指しました。結果は月販420kl、会員1万件となりました。
インパクトの強いオープンイベントで大量動員し、その後も新規客をコンスタントに会員化してきたわけです。これには車番認識システムが大活躍しました。

②車検100台/月
商圏内の車検需要は申し分ありませんが、主要な車検チェーン店やカーディーラーがしのぎを削る中での新規参入です。

1年目は月間100台の入庫を目指しました。結果は110台。クリアしました。
私たちには、ガソリンという武器があります。給油来店客はすべて車検ターゲットですから、新規客を会員化すると同時に当店の車検商品を説明し、「次の車検を予約していただけませんか」と打診することを「標準手順」としてきました。

正しい手順でやれば、誰がやっても5割以上の予約獲得率を得られます。しかし、当初ウブだった学生アルバイトたちが、次第にすれ、ズル賢くなってきて、期待どおりの結果が出なくなっていると感じます。

アルバイトの行動の量と質を高めること、また、商圏客に対しては、インターネット、ダイレクトメール、ミラーリングによる販売促進、そしてコールセンターによるクロージング、これらの機能のミックスが課題です。

昨年は指定工場資格を取得し、メカニックも4名体制となり、量産体制も整いました。今年は2年目に突入するので、年末からリピーターが積み上がるでしょう。

2022年の到達目標は月間250台。全力で邁進しようと思います。

③レンタカー100台
商圏規模から推計される地元需要は月間350万円です。
そこでレンタカーを30台用意したのですが、オープン2ヵ月目に推計需要に到達してしまいました。

多摩ニュータウンは郊外地であるにもかかわらず、実は、大学がたくさんあるエリアで、昼間人口と夜間人口がほとんど変わりません。そこで、一気に100台に増車してみたところ、月間700万円以上を稼ぐ屋台骨となりました。

レンタカーも新規参入ですが、今後リピーターが蓄積されるでしょう。どこまで伸びるか楽しみです。

④その他の課題
レンタカーは生産性が高いため、人件費効率や人時生産性は計画値を上回りました。
それはいいのですが、レンタカー経費も想定以上に膨らみ、月間経費は計画より320万円増え、損益分岐点が高くなってしまいました。

店頭販売力が未熟なうちは、レンタカーや車検が主力商品となります。仕組みをきちんと作れば売れます。
しかし、車販、鈑金、保険販売など販売力を要する商材も強化しなければ、安定黒字にならないでしょう。人の育成マネジメントに取り組むことが、本年の重点課題です。

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