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冠水車を見分けるポイント

今回の台風19号は広い範囲で甚大な被害をもたらしました。堤防の決壊は90ヶ所以上にのぼっていますが全容はわかっていません。自動車においてもどれだけの台数が被害にあっているか現時点はまったく不明です。しかし、災害車の中でも「冠水車(水没車)」が今後、市場に流通する台数が増えることは間違いありません。

①冠水車(水没車)とは

日本自動車査定協会では、「冠水車」を

集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、または、その痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの

※「通常使用で発生しないサビ・腐食」「通常使用で発生しない汚れ・シミ」「ドロ・カビの臭い」など複数以上、痕跡が確認できるもの

と定義しています。

冠水車(水没車)は、キレイにルームクリーニングや修理しても、電気部品等に故障が出てくる可能性が非常に高く、商品価値が著しく低下しますので修復歴車や他災害車以上に敬遠されます。

②冠水車(水没車)に表れやすい特徴

明確に「冠水車(水没車)」をジャッジするには、オークション検査員レベルのスキルが必要となりますが、「冠水車(水没車)」に表れやすい特徴を知っておくだけでも回避につながります。

出典:https://www.webcartop.jp/2018/07/255915/

 

③オートオークションでの冠水車

オートオークションでも引き合いが非常に弱く、応札が極めて弱いため、「相場」で売るのは極めて稀です。冠水車(水没車)は、評価点で1点、内装補助評価はつきません。運良く評価点がついた(冠水車じゃないと判断された)場合でも、後からクレームによってキャンセルや大幅な値引きを要求されることもありますので取扱いには細心の注意が必要です。

※オークションでの体験談

東日本大震災(2011年3月)の翌年、冠水歴のある車両を数台オークションに出品したことがあります。当時、オークションの調整員をメインで担当していた時、都内の直営店長から相談がありました。仙台のお客さんから津波の被害にあったフリードを買い取って内装クリーニングと修理したのでオークションに出品したい。冠水歴になるか見てほしいとのことで見に行きました。

プロのクリーニングを入れたこともあり、内装は非常にキレイで内装補助評価Bは入る印象を受けました。乾燥もしっかり行われており、カビの臭いはありませんでしたが、シートレールのボルトに砂が取り切れていなかったのが気になりました。再度、クリーニングを行っても取り切れないと判断できます。エンジンルームもキレイに洗浄されていましたが、薄く水位跡が残っていました。修理代もかなり高かったようですが、エアバックランプ点灯は消せない状況でした。

見立てでは、冠水歴の疑いまで出来るものの決定的な部分に欠けるため、オークション会場で見落とす可能性が高いと思い、「会場が見落とす可能性があるので、通常の場合と冠水車となった場合とどちらに転んでも大丈夫なように真ん中くらいのスタート金額にしといてください。あとは評価がついてカウンター、セリ状況を見て調整しますので」と指示をしました。

狙い通り、4.5点内装Bの評価点がつき、当日のセリも評価点通りの値段が入り、ホッとしました。

クレーム期限当日、会場から私の携帯に連絡が入り「冠水車の疑いがあるので再検査を他会場で行います」と一報がありました。これも予測していたので、再検査結果と落札店の希望を待つことにしました。この間に出品店の店長と相談し、落としどころを準備していました。まさかキャンセルはないだろう、値引き20~30万までみれば大丈夫だろう。もともと70万の赤字を見ていたし。

しかし、落札店の希望はまさかのキャンセル希望でした。戻ってきても困るので値引きでなんとかならないか交渉しましたが、キャンセルの一点張りでどうにもならず。理由は「冠水車は売れないし、売ったあとの故障によるクレームが面倒」ともっともな理由です。なんとしても売却しなけばならないので金額の打診をお願いしましたが、金額すら言ってもらえない状態でした。こちら側から30、35万と打診をしていき、最終50万円の値引きで決着しましたが、約1ヶ月かかりました。

ギャンブルはせずに最初に点数がついた時点で再査定の依頼をしておけばよかったこと、冠水車の評価点で売却していればクレームで費やす時間を省けたと思いました。ただ、オークションの検査員でさえ、見落とすほど「冠水車(水没車)」のジャッジは難しいと思いました。

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