SS全般

油外放浪記第134回 SSはロードサイドショップの「雄」

年間営業利益5,000万円へのみち

本稿では毎回、当社直営店の実績を公開しています。
決して自慢したいわけではありません。
赤字のときも、失敗したときも、赤裸々に告白しています。

SS業界でこんなことをする経営者は他にいませんから、不思議に思われる方がいらっしゃいますが、私は、一向に困りません。
ピザパイは、分け与えると自分の取り分が減ってしまいますが、知識や知恵はいくら共有しても減りません。ですから、当社の経験、私の見識が、少しでもSS業界の皆様のお役に立てればいい、と本気で思っています。

いわゆるロードサイドショップは数あれど、年間営業利益が1店当たり5,000万円を超えるのは、ニトリ、ドン・キホーテ、ケーズデンキなど、数えるほどしかありません。
もしもSSがその水準に達すれば、屈指の優良産業にランクインします。そこで働く者たちは誇りを持ち、優秀な人材も集まるでしょう。SS業界が名実ともに「勝ち組」となり、元気を取り戻せる日が来ることを、心から願います。

ただ私も生身の人間、惰弱です。
うまくいかなかったり壁にぶつかると、「仕方ないよね」「もう十分やった」「あきらめが肝心」などと脳内悪魔がささやきます。

こんな気弱な誘惑に負けず勇気を振り絞るため、敢えて公言して退路を断っているという側面もあります。
・・・というわけで今回はまず、当社34期(2019年度)の第一四半期である7~9月のSS実績を振り返ります。

表1は1店当たりの月間平均値です。

      

営業利益が月間430万円となり、前年比で倍増しました。このまま推移すれば、年間5,000万円を超えそうです(グラフ1)。

1店当たり5,000万円の営業利益を稼ぐSS業態をつくろうと考えたのは2014年度のことです。当時の第一四半期は赤字で、年間利益は130万円でした。

あきらめずにSSでの油外収益拡大の道を啓開し続け、昨期にようやく1店当たりの営業利益が3,000万円を超えました。今期はついに5,000万円なるか、といったところです。
各店店長、スタッフたちをねぎらうとともに、今期こそ念願の5,000万円に到達させるぞ、と鼓舞しました。

10月は消費増税と台風にやられた

その舌の根も乾かぬ10月、見事にずっこけました(表2)。
既存5店は、油外粗利・営業利益ともに前年割れ。

堀之内店も8月・9月と連続黒字でしたが、10月は、再び赤字に転落。燃料指数はプラス12と、急ブレーキがかかりました。

消費増税の反動が、特に車販ビジネスに影響しました。9月まで二桁成長が続いていたのですが、10月は二桁マイナスです。
行楽シーズン3連休を直撃した台風19号も、燃料油販売量の伸びを鈍化させました。
これらは「外的要因」ですが、早く回復することを望むばかりです。

鈑金塗装事業、泥沼の戦い

さて、SSのポピュラーな油外商品の一つに鈑金塗装があります。
一般的な鈑金工場に比べると、SSは鈑金塗装においても優位です。通行量の多い通りに面し、お客様の反復来店があり、来店車両を観察すれば、ニーズを発見できるからです。

問題は、受注した作業を外注するか内製化するかです。外注すると、販売価格は高くなり、売りにくくなります。値下げをすると利益率が下がってしまいます。

SS事業者の方であれば、誰しも鈑金塗装の内製化を考えたことがあるのではないでしょうか。
当社は20年前に一度試したことがあります。しかしプレハブ事務所を改装した簡易工場で、未熟な技術者による素人運営でしたから、品質は安定せず、SSも積極的に受注しませんでした。やむなく数年で撤退しました。

その後、当社SSはレンタカー事業を始めました。
当時のレンタカーは中古車がメインでしたから、商品化するために車の加修が必須です。また、古い車ほどお客様が雑に扱うので事故修理も絶えませんでした。

そこで9年前、山の中の50坪の工場物件を借り、簡易塗装ブースを設置しました。しかし手狭な施設、作業性も労働環境も良くない山小屋のような工場です。何とかしたいと思っていると、その3年後、敷地300坪、建屋150坪の素晴らしい工場物件が見つかりました。

これなら鈑金塗装事業に本格参入できる、と野心が芽生えました。さっそく賃借契約し、設備を導入し、職人を拡充しました。
ところがこの鈑金工場、固定費が月に600万円かかります。これを回収するために鈑金価格を設定すると、案の定、SSからは「高すぎる」「外注した方が安い」と反発されてしまいました。
やむなく社内価格を設定しました。が、これでは、鈑金工場は恒常的に赤字です。

そこで自ら営業し直接受注しようと、ホームページの作成、インターネット販促、さらに保険会社との提携に必要な追加投資など、1年がかりで準備しました。にもかかわらず、月間300万円近い赤字を出してしまい(表3のA)、収益改善の兆しが見えません。
軽いノリで始めたはいいものの、泥沼にはまってしまったわけです。

起死回生なるか、最後の戦い

私は鈑金工場のスタッフたちに尋ねました。どうすれば、黒字化できるかと。
彼らは答えます。
➊水性塗料は環境にいいかもしれないが、乾燥に時間がかかる。有機溶剤の塗料と設備に変えてほしい。
➋社内の仕事は単価が低いので受けたくない。

よしっ、分かった。直ちに彼らの言う通りにしました。
すると、月間赤字は115万円に減りました(表3のB)。しかし、依然として赤字からは脱却できません。

私は彼らに宣言しました。ならば、「最後の戦いをする。これでダメなら、鈑金事業から撤退する」と。

その作戦はこうです。
①今の鈑金工場は、工業団地の路地沿いにあり集客力に乏しい。
②一方で、仲町台SSの向かいに、車検キャパシティを拡大するために借り増しして作った整備工場がある。ここは駅前の交差点立地で通行量も多い。
③この整備工場を、鈑金塗装専門ショップに改造する。大型看板を設置し、一般客をどんどん集客・リピートしてもらうための拠点とする。

赤字部門に投資するのは勇気が入りますが、この11月、リニューアルオープンしました(写真1&2)。



ちなみに、工場とショップとの距離は約2.5kmです。
まさに背水の陣。今期の事業計画は「表3のC」の通りです。---と公表してしまいました。
私も、もう後に引けません。

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