SS全般

油外放浪記第168回 油外商品の販売促進が少しずつ進化している 

8月も過去最高業績を更新

猛暑と豪雨、そしてコロナ第7波に見舞われた8月でした。
ここにきて、当社のSSスタッフでもコロナ陽性者数が増えてきました。
人のやり繰りで責任者は大わらわでしたが、販売実績は予想外に順調でした(表1)。

8店合計で、経費は前年より2,660万円増加しました。しかし、油外粗利が2,870万円、燃料油粗利も200万円増えたため、営業利益が400万円改善して4,460万円。
特に大きく伸びたのは、車販とレンタカーです。

仲町台店は油外販売も経費コントロールもパーフェクト

最大利益を出したのは仲町台店。
中古車買取部門を切り離したことを先月号で述べましたが、それでも770万円の営業利益を出してくれました。

この春、店長を変えたばかりの店です。赤字続きの寒川店を年間利益5,000万円の黒字店に押し上げた女性店長を、当社の足もとの旗艦店に異動してもらいました。
半年経たずに本領発揮。
8月は車検、車販、レンタカーすべて計画値をクリアしただけでなく、経費も計画を大きく下回りました。パーフェクト!

次に小田原東IC店です。
1年半前に運営継承した店で、立地、設備面で大きなハンデを抱えます。他の直営店と比べると見劣りしますが、7月に続いて8月も黒字。昨年9台だった車販台数を24台に押し上げたことが勝因です。

小田原東IC店から1カ月遅れて運営継承オープンしたのが、新百合ヶ丘店です。
小田原東IC店とは対照的に、高いポテンシャルを持つ店です。油外粗利は、仲町台店に追いつかんという急成長ぶり。
陸運局の検査場まで往復2時間以上かかるのが玉にキズでしたが、このほど指定工場に認可されました。車検の生産性が一気に高まることでしょう。

SSレンタカーは8月を制すれば年間を制する

販売機能の開発や人の育成に関係なく、SSが直ちに安定収益を得るには、レンタカーが筆頭です。
特に8月はレンタカー需要のピークです。当社は8店で6,000万円以上を売り上げました(表2)。

中でも、住宅地に立地する仲町台店、センター南店、堀之内店、新百合ヶ丘店はいずれも1,000万円クラス。営業利益率は60%。これほど収益性の高い商材はあまり見ません。

しかし、レンタカーが本当に「美味しい」のは、実は9月以降です。
8月に世の中のレンタカー需要が爆発します。そのお客様に十分な供給量(レンタカー台数)を用意すると、大量の新規客が来てくれます。この新規客に、便利で快適なレンタカー利用を経験していただくと、「また借りたい」と思っていただけます。

こうして大量のリピーターが一気に積み上がります。秋冬のレンタカー売り上げが月間50万円、100万円単位で明らかに増加するのです。季節変動の振れ幅も緩くなり、ビジネスが安定します。
生活圏に立地するSSレンタカーの醍醐味です。

「月間車販20台」を合言葉に18年

車販も絶好調です。販売台数は233台。昨年より60%伸びました。
1店当たり販売台数は平均29台。ここに至る道のりは、決して平坦ではありませんでした。
紆余曲折の経緯を簡単に整理してみます。

そもそも当社が車販にチャレンジしたのは2004年。きっかけは、油外収益を最大化することにありました。
オイル、タイヤ、バッテリー、車検といった商材販売を追求するうち、車両本体ごと販売すれば、そのアフターマーケットを総獲りできるのではないかと考えたわけです。

当時の燃料油販売量は1店当たり250kl、利用客数は約4,000人でした。そのうち半数を車販客にすれば、放っておいても油外が売れるに違いありません。

当時の乗用車買い替えサイクルは約8年。したがって8年間で2,000台を売りたい。逆算すると「月間車販20台」です。
以来、これが当社の指針となり、車販沼にどんどんハマっていきました。➊2004年
中古車無在庫販売まずは多くのSSと同様、リスクのない無在庫販売から始めました。いわゆる落札代行、オークションダイレクトです。
10年間力一杯やってみました。高い販売力を有するスタッフが求められます。結局、育成できず、1店当たり月平均販売台数は4台でした。
その一方で、SSでフィールドに待機するレンタカーに値札をつけてみると、ときどき売れるという事実に遭遇します。高度な交渉をしなくても、新人が対応しても、言い値で買っていただける。➋2014年
中古車在庫販売ならば、一般的な中古車店のように車を仕入れ、展示販売してみたいと思いました。
平塚店の隣の農地を借り受けることができました。整地して中古車50台を展示したのが2014年のこと。果たして、平塚店だけは月間20台売れるようになりました。SSを5店運営していましたので、1店当たり平均8台に増えました。しかしまだ20台に届きません。
別の問題も発生しました。
中古車販売店は鮮度の高い車に常時入れ替え、回転率を上げる在庫管理が不可欠ですが、SS業務と相容れません。平塚店は不良在庫が増え、次第に集客力も低下しました➌2016年
新車リース次に目をつけたのが、新車の個人向けリースです。SS業界では一部の元売会社が始めていましたが、当社のSSの系列元売会社はやっていなかったので、独自に調査し開発しました。
新車ですから在庫不要。ようやく1店当たり販売台数は14台となりました。
しかし、数年のうちに競合ブランドが多数出現、自動車メーカーも取り扱うようになり、新車リース市場は、あれよあれよとレッドオーシャン化してしまいました。➍2020年
中古車検索サイトの活用そして2020年。コロナ第1波が国内を襲います。当社は九州や北海道の空港前でレンタカー専業店を出店していますが、その需要が消滅しました。
大量のレンタカーを処分しなければなりません。短期間で売却するため、展示場所をSS店頭ではなく、グーネットやカーセンサーにしました。その集客力は半端ではありません。約1カ月で完売しました。
これが新たな車販ビジネスのきっかけとなり、現在の主流となっています。
すなわち、新設した専門チームが大量の車両を仕入れ、架装(商品化)し、中古車検索サイトに掲載します。お客様からの問い合わせはSSで受け、来店してもらい、現車を見せ、販売します。
また、専門チームは在庫状況を見ながらフレキシブルに価格設定し、平均2.5カ月で在庫を回転させます。売れ行きを見ながら”売れる”中古車を仕入れます。こうしてようやく念願の「月間車販20台」を実現しました

SSと車販では、商圏範囲がミスマッチか?

さて、ここで新たな問題が発生します。
WEBで集客するお客様は、数十キロという広範囲からやってきます。 SS商圏内に居住するお客様は4割ほどです。

ガソリンは「最寄り品」、対する自動車は「買い回り品」。商圏範囲が異なる商材なのです。
つまり、車を売れども売れども「SS利用客の半分を車販客にする」ことはできないかもしれません。気になって調べてみました(グラフ1)。

SS商圏客に車を売っていた2018年よりも、遠距離客に販売するようになった2021年の方が、L当たり付加価値が15円も上がっています。結果オーライですが、しばらくはお客様の居住地域を気にすることなく、車を売っていこうと思います。

車検は復活の兆し

今年1~3月の車検新春キャンペーンが大失敗に終わったこと、続く4月は前年比65%に落ち込んでしまったことを、以前にお伝えしました。

当社の車検はくすぶり続けています。そこで私が陣頭指揮を執り、再強化しています。販売促進も店頭活動も、すっかりマンネリ化、簡素化していました。そこでまず販売促進を刷新したところ、車検入庫台数、粗利とも前年並みに回復しました。 車検の広告媒体別の効果の変化を(グラフ2)に示します。

WEBは堅調。折り込み広告は効果がなくなりました。相対的にポスティングやミラーリングの効果が上がっています。

今までなかった手法として、 LINEや紹介に注目しています。SNSなどユーザー発信の情報は、広告宣伝上、重要性を増していくでしょう。
9月からは、各店で車検集中獲得キャンペーンが始まりました。SS店頭で車検商談機会を大量に発生させ、短期にOJT(現場)教育で車検販売スタッフを育成することが目的です。

LINEでガソリン販売を維持向上、油外販売も

当社の油外販売の方法は、WEBなどの広告宣伝が主流になってしまったようにお感じかもしれません。

しかし、SSの油外販売の基本は、依然としてガソリンがもたらす高頻度来店客の確保です。
したがって、当社も「新規客を会員化する」活動の手綱を、決して緩めません。

これは直接的な収益を生まない地味な活動で、新規客の個人情報を取得しては、会員カードを発行しています。特に2年前から重要視しているのが、スマホに「LINEお友達登録」をしていただく活動です。

車番認識システムにより、新規来店を正確に判別していますが、8月は8店で7,500人の新規来店がありました。うち2,700人にLINEお友達登録をしていただきました。

2年間で累積LINE会員は10万人を超えました。彼らに対し、毎週末に割引クーポン(QRコード)を発行し、反復来店を促進しています。

お客様のスマホに無料で販売促進できます。バカの一つ覚えのようにガソリン割引クーポンを繰り返し発行していますが、ときどき油外商品の販促も試しています。➊車検月1回車検を告知しています。 2021年は年間777件(粗利約3,000万円)がLINE広告で入庫しました。1店当たり月間平均8台、約30万円の増収です。➋廃車買取2021年11月~22年4月、仲町台店のお客様に廃車買取を宣伝してみました。235件の問い合わせがあり、94台の廃車を買い取りました。付加収益は約560万円に相当します。
いずれも大きな効果ではありませんが、販促費はゼロですので、費用対効果は無限大です

YouTube広告を試してみる

地方に行くと、地場企業のCMをよく目にします。地方局が極めて低料金でCM枠を提供しており、やはり気になるのは、車検やレンタカーのCMの例を見たり聞いたりします。

当社が拠点を構える神奈川県にはそういう媒体がなく、かねてから羨ましく感じていました。ところが最近の人たちは、テレビを見なくなり、YouTubeを見る人が増えていると聞きます。

YouTubeには、6秒の動画を発信する広告があると知りました。
3万回再生で9万円。折り込み広告より安価で、ホームページにも誘導できる。対象エリアを限定でき、SSとの相性はいいかもしれません。試してみます。

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