SS全般

油外放浪記第147回 高収益SS業態「ニコニコステーション」がついに完成!!

昨年11月も営業利益のギネスを更新

新年あけましておめでとうございます。
今年はコロナが一掃され、東京オリンピック・パラリンピックも無事開催されることを祈ります。当社SSの昨年11月の実績がまとまりました(表1)。

前年との比較では、燃料油粗利が270万円増加、油外粗利が1,120万円増加。経費も550万円増加。したがって、営業利益は840万円増加し2,700万円、1店当たり450万円です。当社の月間利益のギネスを、11カ月連続で更新中です。

経費の増加以上に油外粗利が増加したのは、SSが燃料油に依存していないことを示し、申し分ありません。
もちろん、燃料油口銭が今もL6円台をキープしていることも、ありがたいと思います。
ちょうど2年前の11月にオープンした堀之内店が、安定的に収益貢献するようになったことにも満足しています。

油外を商品別に見てみましょう。
車検が好調です。前年比112台伸び、913台となりました。
1店当たり152台。SSが取り扱える唯一の法定需要商品なので、販売体制を整え、維持さえしておけば、これほど手堅く安定する商品はありません。

車販は前年比倍増の133台となりました。中古車在庫の充実と中古車リースの商品化が好調の要因です。特に、仕入れた中古車を商品化(架装)するための人員および設備を確保したことで、販売台数の拡大に弾みがつきました。

レンタカーは、コロナに振り回された1年でした。夏以降、復調しつつありましたが、コロナ第3波の影響でしょうか、前年比160万円下がってしまいました。それでも粗利益の4分の1を占める看板商品の一つです。

1店当たり営業利益は、月間平均500万円

新年にあたり、明るい話題をご提示したいと思います。
このところ本稿では、SSというビジネスフォーマットが、いかに高収益業態になり得るか、その可能性を検証しています。

年間5,000万円以上の営業利益を生み出すSSを、当社では「ニコニコステーション」と呼んでいますが、昨期は、当社直営の6店中、3店が「ニコニコステーション」になりました。

今期はどうでしょう。期首の7~11月までの5カ月間、6店の合計実績を集計してみました(表2)。営業利益は累計1.5億円。つまり1店当たり月間平均500万円の大台を超えました。年間6,000万円/SSのペースです。

あくまで平均値ではありますが、コロナ禍の中にあって、この実績。「ニコニコステーション計画」は、ほぼ実現したと言っていいのではないでしょうか。

事の始まりは7年前

ーーーと、気を吐いたところで、SS業界の大半の方は、冷めた目で見ているかもしれません。私一人が騒いでいるだけかもしれませんが、そもそも「ニコニコステーション計画」を掲げた背景と経緯について述べたいと思います。

最初に大風呂敷を広げたのが2013年。「2020年までに年間5,000万円以上の営業利益を上げるSSを創り出します」と、世間に公表してしまいました。当時、ガソリン需要は年々減少していました。しかも激しい価格競争は一向に収束せず、多くのSSが疲弊し、撤退や倒産も相次ぎました。

当社も例外ではありません。
特に2012年に運営継承したばかりの寒川店は、赤字が解消される目処が立ちません。他のSSのスズメの涙のような利益では到底カバーできず、その結果、SS事業は年間1,500万円の赤字。
「撤退」の二文字が私の頭を何度もかすめました。

しかし当社には、絶対に撤退できない理由があります。なぜなら当社の本業はSS業界のマーケティング支援業。有効なマーケティング戦略や戦術を直営店で試し、検証・開発し、SS事業者に提供させていただくことを商売としています。

…にもかかわらず、直営店さえ黒字運営できないとなれば、誰も当社の商品やサービスを注文していただけないでしょう。すなわち当社にとってSS業からの撤退は、会社の存在基盤を失うことに他なりません。当時、当社の従業員は約200人。彼らの生活基盤を消滅させるわけにはいきません。

かくなる上は、背水の陣。直営店を黒字化するより他に、当社の生きる道はなかったのです。こうした危機感から打ち出したプランが「ニコニコステーション計画」です。

どうせやるなら、スタッフたちがSSで働くことにプライドを持てる店にしたい。すなわち国内ロードサイド店の中でもトップクラスの利益を安定的に確保できるSS業態を創り上げたい。
達成期限は7年後の2020年。

もう一つ。自分自身に対する「逃げ道」を断ち切らなければならない。いっそこのプランを公開してしまおう。

そういうわけで、「ニコニコステーション計画」を発表してから、以来、その実態を本稿でお伝えしている次第です。
決して自慢したいわけではありません。うまくいったこともダメだったことも、ありのままの実態をお伝えしてきました。

本稿は「油外放浪記」という呑気なタイトルです。外部から見ると、暇なオヤジがSSをダシに使って遊び半分にやっている、ように見えるかもしれません。しかし、実際は水鳥が水面下で足をバタバタするように、全力本気モードでもがいてきた7年間でした。

”意思”の上にも7年

ニコニコステーション計画の目標と、それに至る実績の推移を(表3)にまとめました。
いったんこの7年間を総括してみたいと思います。

➊燃料油
燃料油販売量はまだ目標に到達できていません。しかし、ひと頃の減販減収傾向からは脱却し、1店当たり60kl増販しました。
「迷ったら原点に戻れ」です。新規客に対するリスト取り(会員化)を地道に行ってきました。LINEによる販売促進も効果がありました。口銭は2020年に入り、大きく改善しました。これはSS業界全体に大きな福音となりました。ただし、今後の見通しは誰にも分かりません。

➋車検
車検の入庫台数は目標に手が届くようになりました。
店頭販売手順が確立したので、これを劣化させず維持し続けることが重要です。商圏客に対しては折り込み広告、インターネット、ミラーリング、需要期にはポスティングも行っています。これらメディアミックスによる問い合わせを一気に集約し受注に結びつけるため、コールセンターを開設しました。
コールセンターはまた、入庫後のフォローや2年後のリピート受注にも大きく寄与してくれています。残念ながら、車検粗利がもう一歩目標に到達していません。しかし本年も1~3月の需要期にキャンペーンを計画していますので、帳尻は合うでしょう。

➌車販
車販も目標に肉薄しています。7年前は中古車の無在庫販売(オークションダイレクト)しか取り扱っていませんでしたが、今は、全メーカーの新車を取り扱えるようになりました。また中古車は在庫販売が主流になってきました。
販売方法も従来は現金・ローンだけでしたが、リースを商品化して激変しました。世の中の「サブスク」風潮にマッチしたのだと思います。
長年の悲願であった「自動車販売月間20台」にようやく辿り着きました。これはSS顧客を「生涯顧客」へ構造変革するための必達条件です。そうなれば、自動車の燃料が変わろうが、空を飛ぶようになろうが、商圏客が存在する限り、何も怖くありません。

➍レンタカー
嬉しい誤算がレンタカーです。2013年当時、当社のSSはレンタカーに対するモチベーションがかなり落ち込んでいました。安い中古車をラインナップしたのはいいものの、故障やクレームが多発し、現場ストレスの多いビジネスだったのです。密かにレンタカー廃止を画策する店長も出る始末。
ところが2016年、新車リースを取り扱うようになり初めて知りました。新車も中古車も、維持償却費にほとんど差がないことをー。
これを機に、仲町台店の店長を中心に「Nメソッド」を開発。すなわち現場のストレスをなくし、レンタカーの売り上げ、利益率、生産性、顧客満足度が激増する画期的な方法論が完成しました。
現在この「Nメソッド」をニコニコレンタカーFC(フランチャイズ・チェーン)店にも普及させているところですが、年間1,000万円単位で営業利益が改善している店が続出しています。
当社のSSは、昨年春の新型コロナ第一波の襲来を受け、慌てて大量のレンタカーを売却しました。これはちょっと誤算でした。
もしもコロナがなければ、ニコニコステーション計画は昨期に達成できたはず。
でも、そのおかげで、SSは大量の中古車販売を余儀なくされ、車販ビジネスが活性化したわけですから、何が幸いするか分からないですね。車販がレンタカーを刺激し、レンタカーが車販を刺激した7年間でした。

➎その他
車検、車販、レンタカーの次に重点化したのが、サイクル点検、鈑金塗装、保険です。
しかしいずれも、いまだ鳴かず飛ばず。
サイクル点検とは、車検客や車販客に対するアフターフォローを充実することにより、バイヤースリモース(高額商品を買った人に生じる後悔)を解消しようというものです。
その一環として定期的に点検入庫していただき、その結果、発生する整備需要を獲得することを狙います。スタッフも頑張っていますが、理屈と現実の違いが現れました。鈑金塗装は、SSが受注して工場に送客するよりも、工場がショップ機能を持ち直接受注したほうがいいと今は思っています。
保険はいまだトライ・アンド・エラーの毎日です。特筆すべき状況に至っていません。

➏経費
一方で、1店当たり月間経費が7年間で700万円増え、1,600万円となりました。
ヒト・モノ・カネは前向きに投資してきたので、普通のSSでは考えられない経費の高さです。
無駄になった投資も多々ありましたが、粗利(特に油外粗利)が伸び続ける限り、今後もあまり躊躇せず投資していく方針です(グラフ1)。

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